日立の英原発本格交渉 日本政府は投融資で支援 成長戦略の一環だがリスクも

※画像はイメージです(Getty Images)
※画像はイメージです(Getty Images)【拡大】

 日立製作所が5日、英国政府と原発新設計画で本格的な交渉合意を発表したことを受け、日本政府は政府系金融機関を通じ事業を後押しする。国内の原発再稼働が進まない中、海外展開が技術継承や人材育成を進める上で重要と考えているからだ。成長戦略の一環として掲げるインフラ輸出も前進する。だが、原発建設は安全対策などでコストが想定以上に膨らむ懸念もあり、リスクは拭えない。

 「日本の原子力の技術、人材基盤の維持・強化にも貢献できる」。世耕弘成経済産業相は同日の記者会見で、英政府と日立による合意の意義をこう強調した。

 政府は、エネルギー基本計画で2030年度に原発の占める比率を20~22%とする方針を掲げている。この比率を達成するためには、原発再稼働が30基必要とされる。だが現実には、5月末時点で8基にすぎない。

 国内の再稼働や新増設計画が滞るなか、政府内には「原発輸出がなければ、日本の安全技術が維持できない」(経産省幹部)という危機感がある。今後、国内の廃炉を進める上でも、原発の技術者育成は欠かせない。

 また、政府は、20年に15年比で1.5倍に当たる約30兆円の海外でのインフラ受注を目指している。今回の日立の事業は「単にモノを売るだけでなく、(売電によって)長期間収益を上げられる」(経済官庁幹部)ビジネスとして政府の期待も大きい。

 プロジェクトを支援するため、政府系金融機関の日本政策投資銀行や国際協力銀行が事業に投融資するほか、日本貿易保険もメガバンクなどの融資を保証するとみられる。ただ、仮に事業が頓挫し、貸し倒れともなれば、公的資金を使った資本増強が避けられなくなる恐れもはらんでいる。(大柳聡庸)