ビール大手4社そろって減少 5月販売 駆け込み需要の反動要因

大手スーパーのビール売り場。大手4社とも苦戦した
大手スーパーのビール売り場。大手4社とも苦戦した【拡大】

 ビール大手4社の5月のビール類販売実績が12日、まとまった。ビール類全体の販売実績は、4社全てで前年同月比減で、キリンビール以外の3社は2桁のマイナスになった。主な要因は、昨年6月に安売り規制を強化する酒税法改正が施行されたことに伴う駆け込み需要の反動だ。

 最も苦戦したのはアサヒビールで、ビール類全体は21%減だった。ビールが20%減、第3のビールは23%減と、主力分野の不振が響いた。

 アサヒ以外でも、ビール類全体ではキリンが4%減、サントリービールが10%減、サッポロビールが15%減といずれも前年を下回った。業界紙によれば、4社全体の販売は13%減となるとみられる。

 法改正では、売上原価に販売管理費を加えた「総販売原価」を下回る価格で販売を続けたメーカーや卸、流通各社に対し、免許取り消しなどの罰則が適用される。大手の安売りを制限することで、中小の酒販店を保護することが目的だが、目立った効果はなく、結果として市場を縮小させている。

 また、各社が3~4月に実施した業務用ビールの値上げの影響も大きい。少子高齢化や若者のビール離れなどで販売が苦戦する中、各社からは「極めて厳しい逆風にさらされている」といった悲観的な意見が聞かれる。(平尾孝)