【フロントランナー 地域金融】城北信用金庫入谷舎人支店の羽柴一仁課長(2)


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 ■新規開拓案件にマッチング活用

 城北信用金庫入谷舎人支店の周辺は「日暮里・舎人ライナー」開通に伴う新興住宅地としても知られており、都心に通勤する会社員世帯のほか、古くから居を構える地主層も多い。一方、産廃業や建設機材の商社などを中心に、中小規模の事業所が点在している。新規開拓や取引関係の強化に顧客との対話を重視し、集めた情報から取引先に役立つ提案を見つけ出していく活動を展開しているリレーショングループの羽柴一仁課長。提案の大きなツールとなっているのがマッチングだ。

 城北信用金庫には、各営業店が自店の持つ情報をアップし、僚店の取引先とのマッチングに役立てるための情報システムがある。羽柴さんはこのシステムで僚店の取引先と自店取引先とのマッチングの可能性を日々探るほか、新規開拓案件にマッチングを活用することもある。

 支店の営業エリア内のある雑貨の輸出販売業者と卸売業者とのマッチングはその一例だ。入谷舎人支店の取引先であるその輸出販売業者は、中国への雑貨の輸出販売を事業の核としていたが、対話を進める中で「インターネットで商材を仕入れているが仕入コストに悩んでいる」との課題が聞けていた。

 担当者からその報告を受けた羽柴さんは、別の担当者が1年以上融資開拓に向けアプローチしていた卸売業者から「販路拡大ニーズ」の情報が上がってきていたことを思い出し、輸出販売業者の紹介を開拓の切り口とする戦略を着想。各担当者と両社への同行訪問を行った結果、マッチングが成立した。

 卸売業者からは「このような提案をしてくれたのは、城北信金が初めてだ」とニーズへの対応について喜んでもらい、その後、見事融資取引を獲得することができたという。

 「お客さまの悩みや課題に耳を傾ける中で、販路拡大やコスト削減・広告宣伝といった非金融の部分からも課題解決をお手伝いし、『業況回復の役に立ったな』と実感していただければ、ご融資など金融面の取引は後から自然とついてきます。こうした流れを作るために、課題解決の糸口として重要なのが情報であると、部下には言い聞かせています」と、羽柴さんは話す。

 こうした取り組みで顧客への理解を深めたうえで非金融のソリューションを提供し、結果として融資を獲得する流れは、実直な事業性融資を地でいくものだ。より効率的な情報収集のため、現場や工場見学の申し込みを推奨する羽柴さんの指導もあり、近年では担当者のアンテナが磨かれ、集まる情報の精度が高まってきたという。

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 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp