【山本隆三の快刀乱麻】資金集めに必死の米テスラ CEOは「綱渡り」を脱したのか (1/5ページ)

昨年9月、「仮想発電所」の計画を発表するテスラ社のイーロン・マスクCEO(ブルームバーグ)
昨年9月、「仮想発電所」の計画を発表するテスラ社のイーロン・マスクCEO(ブルームバーグ)【拡大】

  • テスラ社の電気自動車(EV)「モデルX」

 電気自動車(EV)をめぐる話題が尽きない。4月下旬には、ドイツ連邦政府のペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相が、「ドイツの自動車業界はEV開発に数百億ユーロを使うべきだ。さもなければ、付加価値額の大半はアジアあるいは米国にもたらされる。少なくともテスラ社と同様の車種を同社より安く製造する必要がある」と発言し、さらに「自動運転車の実用化技術はドイツが世界でもっとも優れたものになるよう開発に注力すべきだ」と自動車業界にハッパをかけた。

 EV用蓄電池が鍵

 EV用蓄電池の開発を行う企業に対しては、固定価格買い取り制度の賦課金を免除し、電気料金を値下げするとも述べており、ドイツ政府は蓄電池がEVの覇権を左右することになるとみているようだ。英国政府も、EV用蓄電池を開発するための研究所を設立して助成制度を創設しており、安全性に優れ、充電能力も向上する全固体電池を含めた技術開発が、EV市場で主導権を握るための鍵とみる政府は多いようだ。

 そんな中、EVの販売台数で世界一になったテスラ社は、赤字基調をいまだに脱することができず、資金面での懸念がアナリストから指摘されている。同社はこれまでの年次決算で一度も黒字を達成したことがなく、不足資金を主に増資、社債発行によりまかなってきた。2010年の上場時に17ドルだった株価が右肩上がりで上昇し、資金調達を容易にしていたことは否めない。17年に株価が389ドルを超えたこともあり、販売台数が年間約10万台の同社の時価総額が、960万台のゼネラルモーターズ(GM)の時価総額を一時上回った。

続きを読む