【大阪北部地震】損保各社、対策本部設置やコールセンター増員 迅速な保険金支払いへ態勢整備

 金融機関が大阪北部地震への対応を急いでいる。損害保険各社は地震発生後に東京本社に「対策本部」、大阪などの被災地に「対策室」を設置。顧客や代理店の被害情報把握に乗り出すとともに、顧客からの問い合わせ増加に伴い、コールセンターの人員を増やして対応する。銀行や生命保険会社も被災者への優遇措置を検討している。(万福博之)

 日本損害保険協会の原典之会長(三井住友海上火災保険社長)は18日、「保険金の迅速な支払いに全力で努める」と声明を出した。

 大阪北部地震では、建物の壁などが倒壊して通行人がけがをしたり、住宅火災が発生したりするなど被害が拡大。火災保険とセットで契約する地震保険に加入していれば、被害状況に応じて建物で5千万円、家財で1千万円を上限に保険金を受け取れる。

 損保各社が地震直後から一斉に態勢整備に乗り出したのは、迅速な保険金の支払いが被災者の支援に直結するからだ。

 損保会社には顧客から事故の報告や、加入した保険で地震が補償されるかといった補償内容の確認など「問い合わせが増加している」(東京海上日動火災保険)。同社は、対応時に顧客を待たせないよう専用コールセンターの人員を1割増員する。損害保険ジャパン日本興亜は既に6割拡充した。

 早期の被害調査に向け、三井住友海上は250人態勢の対策室を立ち上げた。近く450人に増やす。損保ジャパンは対策室に全国から600人を派遣する。

 今後、被災地に災害救助法が適用されれば、保険契約者による保険料払い込みの最長6カ月の猶予などの措置も講じられる見込み。

 一方、銀行や生保も被害状況の確認など情報収集を急いでいる。被害の広がりや政府の災害対策を見極めつつ対応を検討。平成28年4月の熊本地震では、銀行は被災者に対し、通帳がなくても預金引き出しに応じたほか、住宅ローン金利を優遇。生保は保険料支払いの一定期間の猶予や運転免許証での本人確認による保険金受け取りといった特例対応に踏み切った。