人員確保や廃棄物処分課題 廃炉となる原発、全国10カ所22基に

 東京電力が福島第2原発(福島県楢葉町、富岡町)の廃炉を検討する方針を表明した。決定した場合、廃炉となる商業用原発は全国で10原発22基に上る。福島第1原発事故後に策定された規制基準により安全対策費は跳ね上がり、採算性が低い原発は廃炉に追い込まれている。一方、作業員確保や放射性廃棄物の処分など課題も多い。「廃炉の時代」到来も、作業は簡単に進みそうにない。

 「もったいない」。福島第2全4基の廃炉方針に、ある東電幹部は本音を漏らした。いずれも出力が110万キロワットと大きく、仮に再稼働すれば東電の経営改善の柱になる可能性があったからだ。

 だが新規制基準は、原発の運転期限を40年と規定。最長60年の延長運転をするには、原子力規制委員会の審査をクリアし、安全対策費に数千億円かかる。運転開始から30年以上たった福島第2は運転期限が迫りつつあり、地元の廃炉要求とともに、費用対効果の障壁も立ちはだかった。

 第1原発の事故後、各地で再稼働が進む一方、7原発15基の廃炉が決まった。関西電力美浜(福井県)や中国電力島根(島根県)では、安全対策工事と廃炉作業が並行に進められ「今後、それぞれの作業員を確保できるだろうか」と電力関係者は危惧する。

 東電も福島第2が廃炉となれば、1日約5000人が作業に当たる第1と合わせ計10基の廃炉に直面するが、さらに人手を集められるかは不透明だ。

 通常の廃炉工程は4段階に分かれ、30年程度かけて原子炉などを撤去し敷地を更地にする。ただ、廃炉作業で発生する原子炉など放射線量が高い廃棄物の処分については保管の基準もなく、処分先も見えない。

 国内の商業用原発で最初に廃炉作業を始めた日本原子力発電東海原発(茨城県)はもともと、今年3月までに廃炉を終える計画だった。しかし、核燃料が入っていた原子炉の解体に手をつけられずにいる。

 2001年に廃炉に着手し、主要設備の熱交換器をはじめ、配管や燃料プールなどの解体作業を続けてきた。これらの廃棄物は放射線量が比較的低く、敷地内で保管している。原子炉は放射線量が高く、解体しても処分先がない。

 原電は廃棄物を搬送する装置の準備が遅れているとして原子炉の解体を延期。現在は19年度に着手する計画で、廃炉完了も25年度までずれ込む。

 原子力資料情報室の西尾漠共同代表は「廃炉作業は想定通りに進むものでなく、原子炉解体を思うようにできないことが、今後も出てくるのではないか。廃棄物や作業員の被曝(ひばく)の問題もあり、慎重に計画を立てる必要がある」と指摘した。