MS&AD社長、AIなど活用新事業創出 デジタル分野に500億円投資

インタビューに答える柄沢康喜社長=8日、東京都千代田区
インタビューに答える柄沢康喜社長=8日、東京都千代田区【拡大】

 MS&ADインシュアランスグループホールディングスの柄沢康喜社長は21日までにフジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、2018~21年度にデジタル分野で500億円の新規投資を行う方針を明らかにした。人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)を活用した商品やサービスなどの開発に注力し、「新たなビジネスを創出する」考えだ。

 すでに16~19年度に同分野で1000億円の投資を打ち出しているが、業務プロセスの効率化などが主眼だった。これに追加する形で投資資金を捻出し、新事業創出に振り向けるのは「飛躍的なデジタル化の進展で、ビジネスモデルが変わっていく」とみるからだ。

 ITなど異業種は従来にない発想の商品などを生み出している。これに対し、「スタートアップとの協業や異業種との連携を通じ、デジタル技術のレベルアップを図る」と強調した。

 一方、国内の損害保険市場の成熟化見据え、海外と国内の生命保険事業を合わせた利益の割合を現行の約3割から21年度には5割に引き上げ、収益源を分散させる方針を改めて示した。成長を牽引(けんいん)する海外では「いい相手がいれば、M&A(企業の合併・買収)をやっていく」と語った。

 また、17年度に1000億円超の赤字を出した英損保子会社の収益改善も課題だ。

 6月に入って700億円の増資を行い、財務基盤を安定させたほか、収益性の低い保険の引受条件見直しなども進めており、「18年度には黒字転換できる」と述べた。