【フジテレビ商品研究所 これは優れモノ】ブリヂストン 電動アシスト自転車

低重心の「く(U)の字型」フレームが乗りやすいビッケポーラーイー。標準小売価格は13万7800円(税抜き)で、車体はレトロブルーなど7色ある
低重心の「く(U)の字型」フレームが乗りやすいビッケポーラーイー。標準小売価格は13万7800円(税抜き)で、車体はレトロブルーなど7色ある【拡大】

  • フロント用のチャイルドシートを載せるハンドル部分。ハンドル全体で包み込む設計で、運転時のバランスがとりやすいという
  • 工場での一般軽快車モデルの耐久性試験の様子。テストは10万回以上繰り返されるという

 □ブリヂストンサイクル 電動アシスト自転車「ビッケ ポーラー イー」

 ■低重心で安定走行、家族全員で楽しさ共有

 休日にサイクリングを楽しむ人を、よく見かけるようになった。自転車はレジャーや通勤、通学、買い物と、実用の足として活躍する“優れモノ”だ。今回は、小さな子供のいるパパ・ママ向けの電動アシスト自転車を取材した。

 「電動アシスト自転車の市場規模は、この10年ほどで2倍以上に急拡大しています」と、ブリヂストンサイクルマーケティング部の室伏僚さん(29)は話す。

 世界初の電動アシスト自転車は、1993年にヤマハ発動機によって製品化された。これに続き、パナソニックや自転車の国内トップメーカーのブリヂストンサイクルも発売を開始し、市場を牽引(けんいん)してきた。

 ◆下り坂ではブレーキに

 電動アシスト自転車は、搭載された電動モーターが、ペダルをこぐ力を補助する仕組み。時速10キロメートル未満で走行する際には、人力でこぐ力を1とすると、その2倍の力をモーターが補助してくれる。このため、上り坂や向かい風のときにも楽にこぐことができる。

 「下り坂で速度が増すとモーターがブレーキをかけたり、高い制動力を持つブレーキを装備するタイプなどがあります」と、室伏さんは誰でも安全に乗れる工夫を説明する。

 当初は、脚力に自信のないシニア層向けのイメージだったが、2000年代に入り、子供の幼稚園の送り迎えや日々の買い物の足として、主婦を中心に利用者が増えた。

 さらに、09年の道路交通法改正で、6歳未満の幼児2人を乗せての3人乗りが可能になり、需要が拡大した。「正式には、幼児2人同乗用自転車という名称で、厳格な安全基準が求められています」(室伏さん)。

 現在、ブリヂストンサイクルをはじめ、国内優良メーカーの該当自転車には、一般社団法人の自転車協会による「BAAマーク」と、「幼児2人同乗基準適合車」のステッカーが貼られている。

 ◆色や柄は16億通りから選択

 12年にブリヂストンサイクルは、新たな自転車ブランドとして、「bikke(ビッケ)」を立ち上げた。子供乗せ自転車の電動アシストモデルを中心としたシリーズで、ハンドルやチャイルドシートなどの色や柄が選べ、最大で16億通りのコーディネートを楽しめる。

 「高い安全性をクリアした上で、家族向けのおしゃれな自転車作りを目指しています」。室伏さんは、ブランドの特徴をこう説明する。

 ビッケの電動アシストモデルで、フロントに専用チャイルドシートを装着したのが、16年発売の「bikke POLAR e(ビッケ ポーラー イー)」。幼児2人同乗基準適合車で、低重心設計のため、自転車に不慣れな人でも安定走行ができる。

 6月上旬発売の新モデルは、バッテリーなどを改良し、エコモードでの走行距離を78キロと、これまでよりも10キロ伸ばした。

 「自転車専業メーカーのノウハウが詰まった自信作です」と、室伏さんは家族をつなぐ自転車の楽しさを語った。

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 ≪interview 担当者に聞く≫

 □ブリヂストンサイクル マーケティング部 室伏僚氏

 ■安全性重視、女性視点で製品づくり

 --「bikke POLAR e(ビッケ ポーラー イー)」の名前の由来は

 bikkeは、bike(自転車)とkids(子供)をかけた造語で、家族みんなで自転車を楽しもうという願いを込めている。POLARは、ポーラーベア(シロクマ)からとったもので、大型とか母親の愛情といったイメージからネーミングした。最後のeは、electric(電動)の意味。ビッケシリーズが目指すのは、家族で楽しむ自転車文化の創造。電動アシスト以外の一般軽快車モデルや、子供用モデルも好評だ。

 --3人乗り自転車は重量がある

 企画開発に、1年近くかける。特に安全性の確認には時間をかけ、パーツ一つ一つの耐久性などについて、厳しい社内テストを繰り返している。3人乗りの自転車は、一般軽快車モデルに比べて負荷がかかることから、頑丈に作りこむ必要がある。重量が10キロ近く増えるので、いかに軽く丈夫なフレームを作れるかがポイントだ。走行性についても、埼玉県の上尾工場内にある専用コースで、テストを重ねている。一般の女性にもモニターとして協力してもらい、女性視点での製品づくりをしている。

 --電動アシスト車の特徴は

 他メーカーのものもそうだが、電動アシスト車の多くは、低重心でフレームがU字型になっている。後部にチャイルドシートを装着しても、またぎやすいように設計したものだ。また、モーターの配置の違いで、前輪から引っ張るようにアシストされるタイプと、後輪から押されるようにサポートされるタイプなどがある。当社では両方のタイプをラインナップすることで、顧客の要望に応えている。フロントにチャイルドシートをつけるタイプでは、前輪全体で重さを受け止める工夫をし、ハンドルの操作性を妨げない設計をしている。また、子供を降ろす際に倒れないよう、ハンドルにロックをかけるセーフティー機能も設けている。

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 ■フジテレビ商品研究所

 「企業」「マスコミ」「消費者」をつなぐ専門家集団として1985年に誕生した「エフシージー総合研究所」内に設けられた研究機関。「美容・健康科学」「IPM(総合的有害生物管理)」「食品料理」「生活科学」の各研究室で暮らしに密着したテーマについて研究している。

 http://www.fcg-r.co.jp/lab/