三菱マテリアル、続く統治不全 説明責任を軽視…総会の質疑応答で疑問の声相次ぐ


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 三菱マテリアルは、株主総会後に小野直樹副社長の社長昇格を正式決定し、新体制を発足させた。小野氏は一連の不正に詳しく、再発防止策の実行に適任と判断された。説明責任の軽視やコーポレートガバナンス(企業統治)の機能不全が際立つ中、新社長には強力なリーダーシップが求められている。

 「社長という重責を引き受けることは身の引き締まる思い。(改革に)全力で取り組んでいく覚悟だ」。小野氏は22日の会見で社長就任の抱負をこう述べ、4月以降に打ち出したコーポレートガバナンス強化策も「迅速かつ確実に遂行していきたい」と力を込めた。

 だが質疑応答では、経営責任の取り方や情報開示の姿勢に対する疑問の声が相次いだ。

 社長交代が発表されたのは今月11日。同社はそれから10日以上、会見しなかった。竹内章前社長は会見に姿を現さず、小野氏は苦しい弁明に追われた。

 同社は昨年秋に初めて不正を公表して以降、五月雨式に別の不正が見つかるなど、以前から不祥事対応のまずさを指摘されてきた。8日には本体で初となる直島製錬所の不正を公表し、製品の日本工業規格(JIS)認証を取り消されたばかりだ。しかも3月末には事実を把握しながら公表せず、会見では不正の調査にあたった小野氏の責任を問う声も出た。小野氏は「(すぐに開示しなかった判断は)適切と思っている」と否定したが、対応が後手に回っている感は否めない。

 竹内氏は今後、代表権のない会長としてグループのコーポレートガバナンス強化に関わる指導や監督を行う。社外を除く取締役は全員が留任した。代わり映えしない経営陣が、どれだけ求心力を確保できるかは不透明だ。(井田通人)