【高論卓説】一部私大に欠けた公共性意識 文科省は助成金の大幅カットで改革迫れ (1/3ページ)

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 昨今、私立学校問題ばかりが国会を独占してきた印象を受ける。そこへ、日本大学アメリカンフットボール部の反則プレーが、メディアを賑々しくしたばかりか、大学の経営陣の問題へと突き進みつつある。そこで、私立大学について認識を共有しておく必要にかられる。かくも長きにわたって、なぜ、報道が続くのか、その根幹に迫りたい。

 私が日体大理事長に就任して丸7年がたつ。就任に際して、最初に復習したのは私立学校法であった。私立大は、いかなる存在なのか、その基本的知識なくしては経営ができないであろうし、自主性を発揮させることができないと考えた。加えて、私立大の「建学の精神」や「独自の校風」を私立学校法は「私立学校の特性」として捉え、国公立の学校とは異なると書く。

 2012年、日体大は北朝鮮へ遠征することとなった。国交もなければ、国が国民に渡航自粛を呼びかける国への遠征には、もちろん外務省は反対した。スポーツに国境はないばかりか、日体大の建学の精神に基づくミッションには、「スポーツを基軸に国際平和に寄与する」とある。ミッションの実践が私立学校法に触れるのか、政府・外務省の通達や公示、告示が大学の自主性と特性を阻むのか、政治判断を仰ぐべきスポーツ交流であったと述懐する。

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