【日本発!起業家の挑戦】エネルギー革命にチャンス見いだす エネチェンジ会長・城口氏に聞く (5/5ページ)

エネチェンジ会長の城口洋平氏
エネチェンジ会長の城口洋平氏【拡大】

 --日本での起業の方がいいと考える理由は他にもありますか

 「はい。スタートアップの新規株式上場(IPO)や企業による買収のチャンスが日本の方が多いからです。金融業界を除けば、英国のスタートアップはIPOやM&A(企業の合併・買収)のチャンスに関しては米国を当てにするしかありませんが、それなら英国で起業するよりも最初から米国で起業する方がいいということになります。日本では自国市場で勝負して、エグジット(出口)戦略としてIPOを目指すことができます。もちろん上場後に低迷するスタートアップもありますが、成長できるチャンスは十分にあります」

 エネルギー市場に新規参入する会社が多いなか、スタートアップが他社との差別化を図るのは容易ではない。特に、城口氏が指摘するように消費者の選択が主に価格に基づく現状ではなおさらだ。400もの電力会社が新しく生まれたというが、今後は急速に淘汰され、多くが倒産または事業の撤退を余儀なくされるだろう。

 今回の議論で非常に興味深かったのは、国内のスタートアップをめぐる状況に対する城口氏の評価だ。私はこれまでに日本のスタートアップが起業後まだまだ成長する潜在能力があるのに、早い段階で上場する多くのケースを見て、それを批判してきた。この批判は日本とサンフランシスコを比較したときには適当だが、英国やEUの市場と比べると物事が大きく違って見えることに気付かされた。

 いずれにしても、日本が起業に適した土地であることはこれまで繰り返し述べてきたとおりだ。エネルギー市場や金融市場の規制緩和が進むなかで、日本の既存産業や固定観念をディスラプト(破壊)するスタートアップはますます増えるだろう。

 文:ティム・ロメロ

 訳:堀まどか

【プロフィル】ティム・ロメロ

 米国出身。東京に拠点を置き、起業家として活躍。20年以上前に来日し、以来複数の会社を立ち上げ、売却。“Disrupting Japan”(日本をディスラプトする)と題するポッドキャストを主催するほか、起業家のメンター及び投資家としても日本のスタートアップコミュニティーに深く関与する。公式ホームページ=http://www.t3.org、ポッドキャスト=http://www.disruptingjapan.com/