シャープ、2000億円の公募増資を中止 希薄化懸念で株価下落

シャープ本社=堺市
シャープ本社=堺市【拡大】

 シャープは29日、7月に実施するとしていた2000億円規模の公募増資を中止すると発表した。増資発表後に株価が大幅に下落して年初来安値を割り込む逆風に見舞われ、市場から目標金額を調達するめどが立たなくなった。増資により経営危機時の「負の遺産」を処理し、攻めの経営に転じる戦略を掲げたが、財務正常化への見通しは不透明となった。

 増資発表前は3000円前後だったシャープの株価は、流通する株式の価値が低下する「希薄化」への懸念などで、28日には2300円台まで下落していた。増資中止の決定を受け、29日は株価が急反発、356円(15.18%)高の2700円で取引を終えた。

 シャープは経営危機時に金融機関などを引受先として優先株を発行したが、配当が割高に設定されるなど成長の足かせとなっている。これを増資で得た資金で買い取り財務を正常化する狙いだったが、先送りとなる。優先株はみずほ銀行と三菱UFJ銀行が保有しており、シャープは「今後の優先株の扱いは両行と協議して検討する」としている。

 市場では、シャープの「次の一手」をめぐり臆測も飛び交っている。中堅証券アナリストは「公募増資が必ずしも挫折したとは考えていない」と話す。今回は米中貿易摩擦などによる市場環境の悪化で見送ったが、株価が戻れば再びタイミングを探るとの見立てだ。一方で、米中摩擦が早期に収拾する気配はないとして、再度の実施は困難との見方も強い。

 シャープは増資で最大2162億円を調達し、優先株の買い取りに約1850億円、超高精細な映像技術「8K」などの研究開発への投資に300億円を充てるとしていた。