【ホープクーリエの旗手 藍澤證券の100年】(5-5)


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 □藍澤證券・藍澤卓弥社長に聞く

 ■「3つの強み」で満足度日本一を

 藍澤證券は7日、創業100周年を迎える。1日には日本アジア証券を吸収合併し質と量の両面でスケールアップ。金融商品の提供を通じ顧客に希望を宅配する「ホープクーリエ(希望の宅配人)」の機能も向上。目指す“超リテール証券”の実現に向け、アジア株のパイオニア、投資の枠を超えた多彩なソリューションサービス、強固な財務体質という3つの強みに磨きをかける。「次の100年」の第一走者として1日付でバトンを受け取った藍澤卓弥社長に経営戦略や課題などを聞いた。

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 --1日に日本アジア証券を吸収合併しました

 「昨年3月に完全子会社の日本アジア証券の社長に就任しました。同社はアグレッシブで議論も白熱する企業文化を持っており、藍澤證券とは文化が違うと感じました。統合に向けた話し合いを進めてきましたが、自分が正しいと思うと譲らないところもありました。『どちらが正しい、正しくないではなく、一番ふさわしく適切なものを採用する』ことに決め、落ち着いて7月を迎えることができました。『日本アジア証券ならでは』のいいところは取り入れていきますが、営業や本社業務などは基本的に藍澤證券ベースで進めていきます。ガバナンス(企業統治)もしっかりと取り組んでいきます」

 --合併メリットをどう生かしますか

 「金融商品などで互いにないものを持っています。藍澤證券には『アジア株といえば藍澤證券』と外部から高い評価を得ているアジア株取引やラップ口座、インターネット口座などがあります。日本アジア証券のお客さまに紹介でき、お客さまにとって投資の新たな選択肢になります。一方、日本アジア証券は東京証券取引所の主幹事資格を持ち実績もあります。藍澤證券の法人顧客に上場案内など新たなソリューションビジネスを提供できるようになります」

 --強みであるアジア株での展開は

 「2000年に香港、台湾、韓国の3市場の取り扱いを始めて以来、市場を拡大するとともに、市場直結化によるリアルタイム取引の実現や投資情報の充実などでお客さまの利便性向上に取り組んできました。現在はアジア12市場で取引を展開、取り扱う銘柄は約3300あり、ともに業界最大水準です。今年6月にはベトナムの証券会社『ジャパン セキュリティーズ』を子会社化しました」

 --ベトナムを強化する理由は

 「経済成長が著しく、株取引の規制緩和などを背景に、日本のお客さまのベトナム株投資への関心が高まっているからで、現地に人員を派遣しシステムも整備するほか、増資して自己売買にも進出します。アジア株進出のポイントは成長性。成長著しいからお客さまの資産アップにつながると信じており推奨します。このためベトナムの証券会社と提携し、日本に入ってこない情報を提供する態勢を整備。進出先にいるアナリストがマクロからミクロまで情報分析し、それを咀嚼(そしゃく)してお客さまに案内しており情報の独自性は他社に負けません。これこそが『藍澤證券ならでは』だと自負しています」

 --ソリューションサービスの強化については

 「『お客さまのことを思う気持ち』を大切にするソリューションスタイルでサービスを提供しています。目指すのはお客さま満足度日本一の証券会社。そのためには他社とは違う視点でのサービス提供が求められます。『証券会社がここまでやってくれるのか』という新鮮な驚きを提供したい。このため投資の枠を超えた多彩なサービスを展開、事業承継や相続対策、ビジネスマッチング、M&A(企業の合併・買収)などで法人顧客の課題解決のお手伝いをしていきます」

 --大学や地域金融機関との連携を進めています

 「藍澤證券発祥の地・静岡で15年3月に静岡大学と包括業務提携しました。日本の次代を担う学生への金融リテラシー教育として静大に提供した『クロスボーダー型インターンシップ』は17年1月に内閣官房ひと・まち・しごと創生本部から地方創生大臣表彰されました。続いて16年4月には徳山大学(山口県)、17年5月に近畿大学(大阪府)と提携しました。大学は地域の要で、連携は直接収益に結びつかなくても長期的視点で必ずプラスになるはずです。実学が強い近畿大学から『当初は資産運用の提案と思っていたが、大学が持つシーズの企業への提案がありびっくりした』といわれ、まさに『わが意を得たり』で、こうした評価を高めていきたい」

 --金融機関とはどうですか

 「地域経済の活性化と地方創生を目的に、双方が持つノウハウやネットワークを生かしビジネスマッチングやビジネス支援に取り組んでいます。15年9月に西京銀行(山口県)と、17年12月に第一勧業信用組合(東京都)と包括業務提携しました。われわれは地方の証券会社の買収や営業譲受などで大きくなった生い立ちを持っており、地方に育てられてきました。地方活性化はひとごとではなく一番重要な分野。それだけに地方創生・地域経済の活性化などに、ソリューションサービスを提供することで貢献していると自負しています」

 --節目の100年を迎えます

 「身の丈ですが、新しいことにどんどん挑戦していきます。事業戦略のみならず人材育成にも重点を置き、その一環として、個々の社員のキャリア形成を中長期的な視点で支援していくCDP(キャリア・デベロップメント・プラン)に取り組みます。社員の配属・昇格は会社、例えば営業は営業の縦割りの中で行ってきました。今後はその人の思いや適性を考え、本人と人事と現場の話し合いでキャリア形成を図っていきます。その方が本人の自覚を促しモチベーションも高まり、会社にも本人にもプラスになります」

 --預かり資産2兆円への挑戦は

 「悲願として目標を掲げており、信頼の証しとして何としてもやり遂げます。しかし、お客さまは2兆円目標があるからと言って預けてくれるわけではありません。ですから希望を届けるホープクーリエのコンセプトが重要になってきます。われわれにとって欠かせないコンセプトです。そのためにもお客さまと長期的視点で付き合っていくことが大事で、収益と顧客満足の両方を追求していきます」

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【プロフィル】藍澤卓弥

 あいざわ・たくや 慶大総合政策学部卒。1997年野村総合研究所入社。2005年藍澤證券入社。12年取締役、14年専務、17年日本アジア証券社長、18年7月藍澤證券社長。43歳、東京都出身。

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 ■藍澤證券の概要

 ▽本社=東京都中央区日本橋一丁目20番3号

 ▽創業=1918(大正7)年7月7日

 ▽設立=1933(昭和8)年10月3日

 ▽資本金=80億円

 ▽従業員数=903人(2018年3月末現在、連結ベース)

 ▽上場取引所=東京証券取引所市場第一部

 ▽経営理念=より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する

 ▽使命=お客様に富と喜びと希望を与えること~世代、世帯に応じた幸せ~

 ■藍澤證券は「超リテール証券」になるための基本方針として以下の7項目を定めている

 (1)Hope Courier(ホープクーリエ=希望の宅配人)

 (2)ソリューションスタイル

 (3)預り資産の増加

 (4)お客様の人生に寄り添う

 (5)持続的な高収益体制の構築

 (6)徹底した差別化戦略

 (7)全社員が仕事の喜びを感じ、最も働きがいのある会社に