株式報酬の導入企業が約1・6倍に 統治指針改訂などが後押しに

 東京証券取引所などの上場企業で、今年6月までに役員らへの株式報酬制度導入を決めた企業が昨年までの約1・6倍となったことが9日、分かった。企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が6月に改訂されるなど経営への視線が厳しさを増す中、自発的な改革を迫られる企業の実情が浮き彫りになった。

 株式報酬制度は、企業が報酬として現金などの代わりに自社株式を付与する制度。株主目線での経営を促し、中長期の業績を意識させやすい。三井住友信託銀行によると、今年は6月までに284社が株主総会で承認を得るなどして制度導入を決め、累計は昨年時点の492社から776社と大幅に増えた。一定期間は譲渡ができない種類の株式付与が目立っている。

 導入企業が急速に増えた背景には、6月に改訂された企業統治指針の影響も大きい。改訂指針では、経営陣の報酬について「客観性・透明性ある手続きに従い、報酬制度を設計」すると規定。中長期的な業績や潜在的リスクを反映させるよう求めており、「社会の潮流を意識して制度を導入した」(準大手ゼネコン)企業が増えたとみられる。

 ただ、企業側も企業価値向上に向けた施策の一つとして、以前から制度の導入について意識してきた。日本総研の調査では、37・2%の企業が「中長期的に取り組むべき課題」(複数回答)として、「経営陣の報酬における健全なインセンティブ」を挙げた。

 三井住友信託銀行証券代行コンサルティング部の斎藤誠部長は「企業業績へのプラス効果も見込まれており、今後も制度を導入する企業は増えていくだろう」と分析している。