一時は没交渉となっていた出光と創業家の協議は今年4月に再開。この数カ月は出光と創業家、昭シェルの3者が折り合える際どい「共通解」探しだった。月岡氏は「統合に向けてさまざまな選択肢がある中で、3者が合意できることを模索して、最善の形が株式交換だった」と強調する。
■まとめ役は村上氏
「村上氏が創業家の相談相手になり、公正な立場から統合の必要性について助言したことが当社と創業家の関係改善につながったのは事実。村上氏が無私の立場から尽力したことに感謝している」。月岡氏は会見で異例の賛辞を述べた。
村上氏は出光株を1%弱保有。創業家と親しい財界人からの依頼を受け、創業家と面談するようになったとされ、出光と昭シェルの統合を支持する立場だ。
ただ、創業家で統合賛同に転じたのは、資産管理会社の日章興産と、出光昭介名誉会長の長男で同社社長の正和氏のみ。両者の出光株の保有割合は約14%と、創業家全体の保有割合(約28%)の半分程度だ。