出光・昭和シェル統合 背中押した「物言う株主」村上世彰氏の動き (3/3ページ)

村上世彰氏(村上財団提供)
村上世彰氏(村上財団提供)【拡大】

 日章興産の代理人は「創業家側の株主の全員が会社提案を受け入れたわけではない」と説明。昭介氏と昭介氏の次男である正道氏はなお反対とみられ、火種は完全には消えていない。

■製油所の統廃合は

 経営陣には経営の効率化も課題だ。出光と昭シェルは統合で、「短期的に500億円以上のシナジー創出」(月岡氏)を目指す。

 出光は国内で北海道、千葉、愛知の3カ所、昭シェルはグループ会社で4カ所の製油所を持つ。亀岡氏は製油所の統廃合の可能性は「両社の製油所網はアジアの中でもトップクラスの競争力を持つ」として否定したが、今後はシナジー創出のため製油所体制の最適化への具体策が求められる。

 一方、旧JXHDと旧東燃ゼネラル石油が昨年4月に統合して誕生したJXTGHDは平成30年度650億円、31年度1千億円のシナジー実現を掲げて先行。JXTGHD幹部は「石油元売りの局面は変わってきている。体力を付け、海外展開や新規事業で業容拡大に努める」と話した。