【ハザードマップ】全通 弱体加盟店の支援で自らの首絞める

 4月2日に事業を停止した全通(東京都江東区)が6月20日、都内で債権者向け説明会を開催した。説明会では再建を断念し清算を前提とした任意整理か、破産を選択することが表明された。同時に示された負債総額は22億3375万円。債権者数は356社に上る。

 全通は1983年、ジャパンギフトチェーン(JGC)と、組合加盟店の共同出資で設立された。JGCはギフト業界では唯一の協同組合として知られ、全国の中小ギフト販売業者らで構成されている。全通はJGCの共同仕入れ事業を担い、事実上JGCと一心同体で、メーカーや問屋から一括して商品を買い付け、加盟店に供給していた。

 全国の地場ギフト販売業者は地域の結婚式場や葬祭業者、有力企業などに太いパイプを持つ。だが、規模や資金力では劣勢だ。そこで全通の加盟店になることで、商品の仕入力や単価メリット、業務簡略化による経費節減が見込めた。

 JGCと全通は、「1県に1加盟店」を目標に掲げ、ピークの99年3月期の売上高は約60億円を計上。全国に約50社の加盟店を抱えるギフト業界の一大勢力に成長した。

 ところが2000年代に入ると様相が一変する。ギフト需要が減少し、加盟店の業績不振に伴い、全通の経営も一気に悪化をたどった。

 背景には市場の縮小やギフトの多様化がある。少子高齢化で、葬儀の数は増えても密葬や家族葬が増え、法事の引き出物の需要は伸びない。結婚式や各種式典も同様だ。簡素化の風潮が広がり、市場は冬の時代を迎えた。

 同時に、消費者の嗜好(しこう)も変化し、ギフトも食事や温泉、乗馬など、かつてなかった体験型ギフトが浸透していった。さらに大手流通業者や感度の高いセレクトショップなどがギフト商材に本腰を入れ、加盟店の大部分を占める従来型のギフト販売業者は太刀打ちできなくなった。

 こうした急激なニーズの変化で、全通の売上高は2017年3月期に34億9000万円と、約20年間で半減した。この間、「13社の加盟店が倒産し、12社が脱会した」という。加盟店の減少で営業保証金の返還も相次ぎ、全通の資金繰りを悪化させた。

 全通は、もう一つ大きな問題を抱えていた。加盟店に対する不良化した営業債権だ。

 全通の成り立ち自体が互助会的な性格の協同組合を発端としていたため、取引条件は加盟店側が圧倒的に有利だった。加盟店から回収できなくても、全通は仕入れ先のメーカーや問屋への支払い義務がある。また、加盟店が経営不振に陥っても、即座に債権回収に動きにくい。むしろ資金繰り支援のため支払い猶予を求められ、取引を打ち切ることはできなかった。

 高橋睦社長は「弱体化した加盟店への支援を続けた結果、不良化した営業債権は雪だるま式に増えた」と説明会で苦しい胸の内を吐露した。

 説明会で配布された資料によると、全通が保有する売掛債権は帳簿上で6億1039万円。しかし、実際に回収が可能なのは8000万円程度。大部分が長期営業債権の未回収や貸し倒れの未償却分だった。加盟店のための組織という趣旨で設立された全通は、いつしか不振業者の救済センターになっていた。発足時の呪縛から逃れられないまま、結局は自らの首を絞め、300社以上の債権者を巻き込む倒産に追い込まれた。