クラウド型顧客管理で損保業界支援 ガイドワイアとセールスフォースが日本市場を変革

握手を交わすガイドワイアのクラウド&デジタル部門プリンシパルビジネスオーナー、アヤン・サーカー氏(左)とセールスフォースのグローバル保険事業本部長、ジェイミー・ビスカー氏
握手を交わすガイドワイアのクラウド&デジタル部門プリンシパルビジネスオーナー、アヤン・サーカー氏(左)とセールスフォースのグローバル保険事業本部長、ジェイミー・ビスカー氏【拡大】

  • 握手するアヤン・サーカー氏(中央左)とジェイミー・ビスカー氏(中央右)。ガイドワイア日本法人の久和義典代表取締役(左から2人目)とセールスフォース日本法人の田村英則執行役員(右から2人目)も日本市場での展開に意欲を見せる

 競争が激化する保険業界で顧客対応が焦点となるなか、損害保険会社向けにソフトウェア製品を提供する米ガイドワイア ソフトウェアが、業務支援クラウドサービスを手掛ける米セールスフォース・ドットコムとパートナーシップを提携し、国内損保業界向けビジネスの「変革」に乗り出した。来日した両社の幹部らに、新しいサービスの魅力や日本市場への期待を聞いた。

 ガイドワイアは、損保の基幹業務(契約管理、損害サービスなど)に特化したプラットフォームを提供するリーディングカンパニー。全世界の大手損保が顧客で、日本でも東京海上ホールディングスをはじめ3メガ損保いずれとも取引がある。一方、セールスフォースは、CRM(顧客情報管理)世界最大手で、日本でもトップだ。

 ガイドワイアのクラウド&デジタル部門プリンシパルビジネスオーナー、アヤン・サーカー氏は「保険業界を取り巻く環境はますます大きく変化しています。顧客もサービスに対し、より素早い反応を求めるようになっています」と話す。

 ガイドワイアは13日に都内で開かれた年次イベントで、5月に発表したばかりの2つの新製品の詳細を説明した。いずれも、セールスフォースが金融機関向けに開発したクラウド型専用アプリケーション「Salesforce Financial Services Cloud(FSC)」に対応している。

 まず、「ProducerEngage for FSC」は代理店に向けた製品だ。これを使えば、代理店は手作業での処理が減ることで顧客とのやり取りを効率化でき、システムを切り替えたり、情報を再入力する必要はなくなる。

 次に、「ServiceRepEngage for FSC」は契約変更など顧客へのサービス業務に力を発揮する。カスタマーサービス担当者やコールセンター担当者は、現在の契約者に期待される情報全体を把握でき、顧客維持にも役立つ。

 両アプリを支えるFSCについて、セールスフォースのグローバル保険事業本部長、ジェイミー・ビスカー氏は「2年前に発表された製品ですが、最初はウェルスマネジメントや銀行向けがメインで、保険向けにもっと使いやすい製品を求める声が顧客からありました。そこで機能面の拡張を行い、ガイドワイアの知見を反映して保険に特化したFSCをつくりました」と明かす。

 損保会社の営業、サービスの現場でよくみられるのが、部署ごとや業務ごとにシステムが併存し、顧客データがバラバラに格納されている問題だ。

 セールスフォースとガイドワイアのプラットフォームは、こうした問題を解決し、両社が「360度ビュー」と呼ぶ、「顧客が求めるいろんなデータの切り口を兼ね備えたCRMのプロセスを実現できる」(サーカー氏)。損保会社は従来の事業形態に比べて作業効率が15~20%、営業面でも20%以上の改善が見込めるという。

 ビスカー氏が、「カスタマー・ジャーニー」という1枚の“地図”を示し、説明を続けた。「これは、顧客が(損保会社との関係で)どのように何を求めるかの道のりを描いたものです」。顧客の嗜好を「学習」し、「評価」し、「購入」につなげ、保険証券を「発行」し、「サービス」を提供して、「(顧客)維持」を図る。そんな一連の道のりのなかで、ビスカー氏は「最も重要な要素は『信頼』です。それぞれに強みをもつ、われわれとガイドワイアのプラットフォームが融合することで、顧客がより速やかで快適で信頼感を抱ける道のりを経験してもらえるのです」と強調した。

 両社を引き付けたものは何か。互いの魅力について、ビスカー氏が「ガイドワイアは業界ナンバーワンとして計上管理、損害サービス管理、請求管理など、様々な強いシステムをもっています」と語れば、サーカー氏も「セールスフォースのプラットフォームには多数の支援ベンダー、パートナーがいて大きなエコシステム(生態系)を築いている」と評した。

 日本市場での展開に先立ち、実は両社は米国で大きな先行事例を得ている。カスタマーサービスで高い評価を得ている大手損保のアミカ社が、両社の新製品を導入。サーカー氏が「実装してまだ日が浅いが、非常にいい手ごたえを得ています」と自信を見せれば、ビスカー氏も「業界他社もその動向に関心を寄せています」と話す。

 もちろん、日本市場のリサーチも抜かりはない。セールスフォースとガイドワイアがそれぞれ関係を築いてきた取引先からのフィードバックはもちろん、「日本の損保会社が、市場が飽和している日本国内だけでなく、世界戦略の展開にも対応できるように考えました」(サーカー氏)。ガイドワイア日本法人代表の久和義典氏は「ヒト、モノ、カネ、それぞれ今までの1.5倍程度の投資規模について、米国本社から了承を得ています」と意気込む。

 ビスカー氏も「(日本の損保会社にとって)やはり業務効率化・収益向上のプレッシャーが高まる中で、クラウドが重要な柱になってきています」とクラウド型のCRMへのニーズが一層高まっていくとみている。

 最後にサーカー氏は「われわれの製品はお客様の声を反映し、さらに進化します」とさらに前を見据えた。

(提供 ガイドワイアソフトウェア、セールスフォース・ドットコム)