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 □ホールマーケティングコンサルタント、LOGOSプロジェクト上級研究員・岸本正一

 ■「国民の娯楽」が成立する時代なのか

 パチンコは、いまとなっては古典的な遊びになってしまったような気がする。ほんの2~3分の電車の待ち時間ですらスマホで埋め、身近なコンビニで買い物を済ませることが大半となった現代社会において、わざわざ「専門店」に出掛けて長時間に亘(わた)り椅子に座りながらパチンコ玉を発射するというこの遊びは、現代社会に生きる大半の国民の時間軸とややズレを生じ始めている気がする。それゆえ、好きな人だけが興じる特殊な遊びという言い方もできそうだ。

 しかしながら、世の中のすべての遊びが国民全体で楽しまれているわけではない。筆者のように老眼がキツくなる年齢になると、スマホゲームを楽しもうとは思わない。ワールドカップで盛り上がってもサッカーを始めようとは思わないし、アイドルの追っ掛けをしようとも思わない。考えてみれば、世の中には好きな人だけがこだわる世界が無数に存在している。

 パチンコ業界は行き過ぎた射幸性を省みて、「大衆娯楽」として再びその面白さに対する理解を広げるべく努力をしているが、国民の多くがパチンコを楽しんでいた昭和後期の姿を“過ぎ去ったもの”として割り切ってしまえば、現代社会の他の娯楽と同様に、好きな人だけがこだわる遊びとしての価値を追求するのも一手だと思えてくる。

 そもそも射幸性を有する遊びが好きな人がいれば、一方で嫌いな人もいる。そこでその双方に受け入れられるパチンコという遊びの将来像を追求すると、どうしても無理が生じてしまい発展的イメージが湧いてこない。ならば、娯楽が少ない地方都市や自宅近隣でしか遊ぶことのできない高齢者などを対象に、身近な娯楽として重宝される存在価値を突き詰めて考える方が建設的だ。

 IoTだのUberEatsなどといわれる時代に、パチンコはかつてのように全国民から支持される遊びではなくなったと考える勇気も必要ではないだろうか。弱音に聞こえるかもしれないが、正しく現実を認識することもパチンコという娯楽の「これから」を的確に描くためには欠かせないはずだ。

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【プロフィル】岸本正一

 きしもと・しょういち 1963年生まれ。元SEの経験を生かし、遊技場の集客メカニズムを論理的に整理・研究する傍ら、全国のパチンコホールを対象にコンサルティングを行う。雑誌への連載やテキストの出版、セミナーでの講演なども手掛ける。オベーション代表。