【経済インサイド】「ヘルシー、安さ、ノン宗教色」の三拍子 鶏肉が国内外でブーム (3/3ページ)

三井物産が出資したモロッコの鶏肉加工一貫生産の会社が生産するハム、ソーセージ。モロッコはアフリカ4位の鶏肉消費国で需要が拡大している(三井物産提供)
三井物産が出資したモロッコの鶏肉加工一貫生産の会社が生産するハム、ソーセージ。モロッコはアフリカ4位の鶏肉消費国で需要が拡大している(三井物産提供)【拡大】

  • 三井物産が出資したモロッコの鶏肉加工一貫生産の会社の工場が生産するハム、ソーセージ。モロッコはアフリカ4位の鶏肉消費国で需要が拡大している(三井物産提供)
  • 三菱商事が出資するタイの鶏肉加工工場。来年1月にも完成する新工場では加工品のラインアップを増やし、高付加価値商品を生産する(三菱商事提供)

 新工場の完成を機に、日本向けに加え、需要が拡大する他の周辺アジア市場なども開拓する。FAOの試算では、東南アジアの鶏肉消費も50年に14年比78.6%増の1590万トンに増える見通しだ。

 50年にはアフリカやアジアを中心に、世界人口は今の75億5千万人が100億人に増え、タンパク質は30年頃には需給が逼迫(ひっぱく)するとみられている。

 各社が鶏肉に注目するわけは、生産までの日数が少なく、飼料効率も良く、安く提供できるからだ。食肉1キロ生産するのに必要なエサの量は一般的に牛で8キロ、豚4キロに対し、鶏は2キロといわれる。飼料用作物の栽培に必要な水も節約できるというわけだ。

 鶏肉増産も商機で、商社や農業資材メーカー、化学メーカーも巻き込み、しのぎを削る。中でも必須アミノ酸のメチオニンは、鶏の成長に欠かせない飼料添加物だけに年率約6%増で成長する。

 三井物産は米子会社のノーバスを通じて増産を計画中で、住友化学も国内でメチオニンを増強中だ。中国企業傘下の仏アディセオも今年1月に中国・南京(江蘇省)の第2工場計画を発表した。

 かつては、経済成長に応じて、消費者の嗜好(しこう)は、鶏から豚へ、豚から牛へと変化すると考えられていたが、健康志向を追い風に鶏肉の商機をめぐる競争が激化しそうだ。(上原すみ子)