100年近い歴史を持つ老舗スポーツ用品卸が経営破綻した。かつては人気プロ野球選手も契約していたが、「街のスポーツ店」が次々に消え、少子化の影響もあって販路が縮小。メーカーや銀行からの支援も得られず万事休した。(東京商工リサーチ特別レポート)
1924年(大正13年)創業の老舗スポーツ用品卸、ヤバネスポーツ(東京都台東区、村川泰光社長)が7月12日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は15億1925万円だった。
約200社のスポーツメーカー用品を取扱い、全国のスポーツ店などに販路を築いていた。業界でも知られた存在だったが、最近は消費構造の変化で業績は振るわず、業容を縮小して我慢の経営が続いていた。
ところが、今年4月に大手スポーツメーカーから取引条件の変更を申し入れられて事態が急変した。取引銀行からの支援も得られず、法的手続きによる再建を決断した。
◆あの巨人の選手も契約
ヤバネスポーツの「ヤバネ」は当社のロゴマーク、矢羽印に由来する。
1924年に「アサヒヤ運動具店」として創業した当社は一時期、野球用品の生産も手がけていた。1970年代には当社製「矢羽印」のバットやグローブをプロ野球巨人軍の選手(「巨人最強の5番打者」と呼ばれた柳田真宏など)が契約していたこともあって知名度が浸透した。
往年の野球ファンや愛好家は「ヤバネ」の名前にピンとくる人も多いだろう。