【高論卓説】全大学教員常勤化に苦悩 教育・研究の質向上には理想的だが… (1/3ページ)

 大学経営上、最も支出の大きいのは人件費である。教員と職員に二分されるが、可能なかぎり増員を考えず支出を抑えようとする。が、教員は大学の教育と研究の根幹を担う看板であり、優秀な人材を求めようとするのは国公私立どこも同じだ。

 専任教員には、相当額の研究費も支給せねばならない。給与プラス研究費、サバティカルのための支出。加えて図書費や研究所などの研究費と運営費、その総額は収入の大部分を占める。教育・研究の支出が増大するにつれ、経営側の考えることは専任教員数を絞ることである。

 語学授業の少人数化は常識化し、教員が不足する。そこで非常勤講師で補うこととなる。非常勤講師には、担当コマ数だけの給与で済む。大学にとって、非常勤教員こそが救世主となっている。あらゆる分野で専任教員だけでは不十分、非常勤教員で授業を補う。

 朝日新聞と河合塾の共同調査によれば、大学教員の約半数は非常勤教員だという。国公私立別では、国立が34%、公立51%、私立57%で、非常勤頼みの授業が常態化している現実が分かる。専任教員は、授業・研究のほかゼミや学内委員会も担当せねばならず、どうしても非常勤教員の手を借りて授業の穴を埋める必要がある。できるだけ専任教員を増やさず、ギリギリの線で教育を行っている。

 専任校を持ち、手助けのために他大で非常勤を担当する教員は恵まれているが、専任校を持たず、非常勤教員だけで生活する学究は苦しい。授業に追われ、研究成果を発揮できないとなれば、専任教員への道が遠のく。現実は厳しい。

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