【ハザードマップ】ヤバネスポーツ 主要取引先が与信枠縮小、命運決する

 1924年創業の老舗スポーツ用品卸、ヤバネスポーツが7月12日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は15億1925万円。

 ヤバネスポーツの「ヤバネ」は同社のロゴマーク、矢羽印に由来する。アサヒヤ運動具店として創業し、一時期は野球用品の生産も手掛け、70年代には「矢羽印」のバットやグローブをプロ野球巨人軍の選手が契約していたこともあって知名度が浸透した。その後、野球用品の製造から撤退するが、国内スポーツメーカーの代理店として大手問屋の地位を確立。ピークの85年7月期には売上高137億2000万円を計上した。

 当時、スポーツ用品の販売を担ったのは「街のスポーツ店」だったが、業界を取り巻く環境は大きく変わる。ショッピングモールの出現とともに全国チェーンの大型店が席巻し、都市部ではスポーツメーカーが直営店舗を展開。オンライン販売も普及する一方で、少子化の影響で学校向け需要は減少し街のスポーツ店は次々に消えていった。

 ヤバネの主力販売先は東日本の小規模スポーツ店が中心だったが、販路の縮小にはあらがえず、2017年7月期の売上高は31億7733万円と、ピークの4分の1以下にとどまった。

 今年4月、経営を左右する決定的なことが起こった。ヤバネが販売代理店をつとめるスポーツメーカーから与信取引の縮小を求められた。民事再生申立書などによると、従来はメーカーに2億3000万円の保証金を差し入れた上で商品を調達、メーカーはヤバネの商品在庫に譲渡担保を設定し、8億円の枠内で与信取引を行う条件だった。しかし、脆弱(ぜいじゃく)な財務に懸念があるとして将来的に与信枠を保証金2億3000万円の範囲内にとどめると決められた。

 これを受けて取引銀行は融資に難色を示し、融資実行の条件として18年7月期決算が黒字見込みで、かつメーカーが今回の取引条件変更を撤回することを示したが、メーカーが応じず万事休す。資金繰りが限界に達し民事再生法の適用を申請した。

 くだんのスポーツメーカーとヤバネとの関係は戦前までさかのぼる。かつて20社ほど存在したメーカーの販売代理店のなかでヤバネは一時、最大規模を誇った。だが、「二人三脚」の蜜月に事実上の終止符を突き付けられ、同社の命運は決した。

 追加融資を拒み、厳しい対応を決断した金融機関の姿勢も注目される。金融機関は将来的な企業価値を判断する事業性評価が求められている。主要取引先のメーカーとの取引減少で、ヤバネのビジネスモデルが限界を迎えたと映ったのだろうか。

 オリンピックやアスレジャー(スポーツウエアを組み合わせたファッションスタイル)のトレンドなどを背景に、スポーツ関連市場は盛り上がりを見せる。だが、ヤバネは消費性向や業界の構造変化をキャッチアップできず自力再建を断念した。