【経済ななめ読み】祭事に宿る歴史の価値

 全国各地で、さまざまな夏祭りが行われている。

 厳しい暑さにもかかわらず、京都の祇園祭は今年も大勢の観光客でにぎわっていた。7月17日に前祭(さきまつり)、同月24日に後祭(あとまつり)の山鉾(やまほこ)巡行がそれぞれ行われ、両日だけで20万人を超える人出があったという。祇園祭は、貞観11(869)年、都に流行した病魔を払うため66本の鉾を立てたのが始まりとされる。山鉾行事は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録され、日本の重要な観光資源となっている。

 毎年6月下旬から約1カ月かけて、日本各地の天満宮(天神社)で催される天神祭のルーツは、天暦5(951)年にさかのぼる。大阪では7月25日の本宮の夜には、奉納花火とともに、大川(旧淀川)で船渡御(ふなとぎょ)が行われた。いずれも幾多の戦乱や経済難を乗り越え、町衆らが千年以上にわたって、引き継いできた祭事だ。

 一方で、地方では、担い手の不足で存続が危ぶまれる祭事も多いという。人口減少は、地縁だけでなく、お金で買えない価値を持つ歴史と伝統を失わせることにならないか、心配になる。(一)