米輸入車関税で大手、有効な対応策なく 再交渉の行方に警戒感 (1/2ページ)

米国での販売台数と輸出の占める割合
米国での販売台数と輸出の占める割合【拡大】

  • 決算を説明するスバルの岡田稔明CFO(右)ら=6日、東京都港区
  • 自動車大手7社の平成30年4~6月期連結決算

 トランプ米政権が検討する輸入車関税の大幅な引き上げに対し、日本の自動車大手各社は対応策の検討を本格化させている。だが、関税分をそのまま価格に上乗せすれば競争力を失うのは必至。米国で生産を拡大するのも容易ではなく、これまで維持してきた国内生産の縮小には各社が二の足を踏む。有効な対応策は見当たらない状況だ。

 「われわれにとって米国が一番のマーケットで、影響は大きい。いろいろなスタディー(研究)はしている」。スバルの岡田稔明取締役専務執行役員は6日の決算会見で追加関税について問われたが、具体的な対応策を示すことはなかった。同社は世界販売の6割超を米国が占め、現地で販売する車両のほぼ半数を日本から輸出している。輸出の割合は各社異なり、米国に工場を持たないマツダが7割を超えるのに対し、「需要のある所で生産する」という方針を貫くホンダは2%だ。ただ、同社もカナダ、メキシコから米国への輸出で関税が免除されるNAFTA(北米自由貿易協定)を活用しており、その再交渉の行方に警戒感を募らせる。

 追加関税が発動された場合、焦点の一つは価格への転嫁だ。トヨタ自動車は、輸入車1台につき6000ドル(約67万円)の負担増になるとの試算を公表。これは米国の業界団体の試算と同水準で、関係者の共通認識となりつつある。全額を価格に上乗せすれば、300万円の車では2割超の値上げに相当し、大幅な販売減は避けられない一方、自社で吸収すれば当然、収益性が悪化する。三菱自動車の池谷光司副社長は「何らかの形で値上げを考えざるを得ないだろう」と話しており、実施されれば各社とも“値決め”に頭を悩ませそうだ。

続きを読む