【高論卓説】事業再定義を迫られる時代 変化し続ける会社、厳しい競争に対応 (2/3ページ)

決算を説明する都賀一宏・パナソニック社長=5月10日、東京都港区
決算を説明する都賀一宏・パナソニック社長=5月10日、東京都港区【拡大】

 ドイツのダイムラーは既に「CASE」という戦略を掲げ、メーカーから「モビリティープロバイダー」になるとの方針を打ち出している。Connected(つながる車)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字を並べたのが「CASE」である。自動車産業に押し寄せている大波に乗って、自ら新たな企業に生まれ変わる狙いなのだ。

 豊田社長は「モビリティーカンパニー」を「世界の人々に移動に関わるあらゆるサービスを提供する企業」と定義する。実際にカーシェアリング事業に布石を打っている。また、ネットワークにつながるコネクテッドカーを起点に、さまざまな事業を展開する意向である。良い車づくりは、その一環となる。

 ほとんどの企業が同じ課題に直面している。かつて家電王国といわれたパナソニックもその一つである。12年に津賀一宏社長が就任したとき、パナソニックはプラズマテレビなどの不振で大赤字だった。

 「当社は負け組」と認めて、家電の王様と位置付けていたテレビを「テレビ放送を受ける、しょせん端末」と割り切り、デジタル家電分野のリストラを断行した。事業の重心を消費者向けから法人向けに移して業績を立て直したが、何の会社か分かりにくくなった。

 5月の記者会見で質問すると、「複数の事業があるので、一言では難しいが、最近、CMで掲げる『A Better Life,A Better World』が、われわれの事業の外せない価値観です」と答えた。

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