6月にタイ北部チェンライ県で洞窟に閉じ込められていた少年らの救出作業に、大阪のメーカーが開発した特殊な「蓄光建材」が使われた。光を蓄えることで電気がなくても発光するセラミック製で、停電時や夜間に使えることから、日本では避難誘導用の標識として利用されている。開発したコドモエナジー(大阪市旭区)の岩本泰典社長は「震災を経験した日本で作っている製品が、世界でも役立つことを広く知ってもらえたら」と話す。
救出に使われたのは、同社の蓄光建材「ルナウェア」。太陽光や蛍光灯などからの光を吸収して蓄え、暗闇で徐々に光を放出し、約12時間の使用も可能。樹脂製のものが一般的だが、同社の製品は蓄光顔料を混ぜ合わせたセラミック製で、耐久性が高いのが特徴だ。
タイでは、少年12人と男性の計13人が6月23日に洞窟に入ったまま出られず救出が難航。岩本さんは7月上旬、救出に役立つのではとタイ現地法人担当者に製品を現地に送るよう指示し、救出対策本部に効果などを説明した。
13人は同10日までに全員救出。同社の蓄光建材が使われたと報告を受けたが、どのように使われたか確認するため、岩本さんは今月5日から9日までタイを訪問した。村の担当者から、ダイバーらが身につけて互いの位置を確認したほか、救出前に作戦をたてるため洞窟内の距離を測る際に使用したと聞いた。救出された少年とも対面。同社の製品が活用されたと知った少年は、両手を合わせて感謝していたという。