鬱病の診断、特定物質の血中濃度利用 慶大発ベンチャーHMTが取り組むバイオマーカー開発 (1/2ページ)

山形県鶴岡市にあるヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの本社(同社提供)
山形県鶴岡市にあるヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの本社(同社提供)【拡大】

  • ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの菅野隆二社長(提供写真)

 女性なら5人に1人、男性でも10人に1人が、一生のうちに一度はかかる病気といわれる鬱病。日本国内では100万人以上がかかっているといわれるこの病気は、外見からその症状を判断するのが難しく、診断は問診がすべて。このため患者本人の性格や医師によって診断にばらつきが生じやすい。そんななか、慶大発バイオベンチャーのヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)は、鬱病の診断をより的確なものにするためのバイオマーカーの開発に取り組んでいる。

 血中濃度差を利用

 HMTは、慶大先端生命科学研究所の冨田勝所長と曽我朋義教授によって設立。曽我教授が開発した低分子化学物質(メタボローム)を短時間で一斉に測定する「キャピラリー電気泳動質量分析(CE-MS)法」の実用化を目指している。

 電場をかけた溶液の中で小さな分子ほど素早く移動し、逆に大きな分子がゆっくりと進む性質を利用して、溶液の成分を分離、検出する。HMTはこの技術を活用した受託解析を手掛けてきた。

 そのHMTが鬱病バイオマーカーの開発に本格的に乗り出したのは2010年4月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の開発助成事業に「うつ病マーカーを用いた臨床検査用キットの開発」が採択されたのがきっかけだ。

 開発過程で鬱病患者は、エタノールアミノリン酸(PEA)という物質の血中濃度が低いことを突き止めた。鬱病のバイオマーカーは、このPEAの濃度差を利用したものだ。

“鶴岡の奇跡”実現へ