鬱病の診断、特定物質の血中濃度利用 慶大発ベンチャーHMTが取り組むバイオマーカー開発 (2/2ページ)

山形県鶴岡市にあるヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの本社(同社提供)
山形県鶴岡市にあるヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの本社(同社提供)【拡大】

  • ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの菅野隆二社長(提供写真)

 HMTは当初、このEPAの解析にCE-MSで実用化を目指した。しかし、CE-MSシステムの価格は1台数千万円もするため、鬱病バイオマーカーの早期普及は難しい。そこでHMTは既存の安価な測定機器で診断できる「酵素診断法」を開発。13年12月に国内特許を取得した。さらに東洋紡と共同で鬱病バイオマーカーに使われる酵素の量産技術を確立した。技術的なめどが立ち、現在、川村総合診療院(東京都港区)での臨床試験段階にさしかかっている。

 “鶴岡の奇跡”実現へ

 HMTの菅野隆二社長は08年2月の就任時に、会社がある山形県鶴岡市にちなみ、HMTが起こすべき“鶴岡の奇跡”を3つ挙げた。

 1つは株式上場で、13年に実現した。2つ目はノーベル賞受賞。鬱病バイオマーカーが広く普及すれば夢ではないだろう。3つ目は地元の庄内空港からボストンへの直行便を飛ばすことだ。

 「鶴岡が米シリコンバレーのように多くのベンチャーが育ったときにはきっとそうなっているはず」と、鶴岡がライフサイエンス分野で世界に開かれた窓になることを夢見ている。

【プロフィル】菅野隆二

 かんの・りゅうじ 東京理科大工卒。1974年横河・ヒューレット・パッカード入社。横河電機に移籍。横河アナリティカルシステムズ(現アジレント日本法人)社長、アジレント・テクノロジー副社長などを経て、2008年2月から現職。68歳。秋田県出身。

【会社概要】HMT

 ▽本社=山形県鶴岡市覚岸寺水上246-2

 ▽設立=2003年7月

 ▽資本金=14億5400万円

 ▽従業員=61人

 ▽事業内容=メタボローム解析試験の受託、バイオマーカーの探索および診断、医薬品開発