障害者雇用水増し問題 「企業努力バカにされた」 中央省庁の水増しに経済界から批判の声

 障害者の雇用拡大に向けてさまざまな施策を展開してきた経済界は、中央省庁や地方自治体による障害者雇用の水増し発覚に失望を隠せない。ある流通大手幹部は「これまでの企業努力をバカにされたようで、むなしさを覚える」と漏らした。

 平成29年度に法定雇用率を達成した民間企業の割合は、19年ぶりに5割を超えた。ホンダは各事業所や自動車部品製造などの特例子会社3社を通じ、29年度に約1千人の障害者を雇用。雇用率は2・3%と法定雇用率を上回る水準だ。

 吉野家ホールディングスは食材加工工場などでの採用を進め、法定雇用率を上回る。河村泰貴社長は「これまでと変わらず、採用を続けていく」と語る。

 昭和35年からと、長期間にわたって知的障害者の雇用を続けるチョーク製造の日本理化学工業(川崎市高津区)など、中小企業もさまざまな工夫で取り組みを広げている。

 こうした民間の努力を踏まえ、ある経済団体幹部は「民間は未達の場合、納付金まである厳しい制度の下で努力をしている。省庁の水増しはあり得ないことだ」と切り捨てた。