リニア中央新幹線建設に周辺自治体反発 静岡・大井川流量減を懸念 (1/2ページ)

 2027年に東京・品川-名古屋の開業を目指すリニア中央新幹線の建設で、南アルプスを貫くトンネル工事に静岡県や同県を流れる大井川の流域自治体が反発している。工事に伴う湧き水で川の流量が減り、産業や生活に影響が及ぶと心配しているためだ。工事主体のJR東海は対策を講じるとしているが、話し合いは平行線が続き、解決のめどはたたない。

 「納得できる説明がなかった」。静岡県の川勝平太知事は7月の記者会見で、JR東海が開いた流域自治体などへの説明会の感想を聞かれ、こう述べた。県や自治体がトンネル工事で発生する湧き水を全量川に戻すよう求めていることに対し、説明会でJR東海は「必要に応じて」などと条件付きの内容を示したという。

 南アルプストンネルは全長約25キロで山梨、静岡、長野の3工区に分けて着工。標高2000メートル級の山の地下を掘るため、難工事になるとみられる。山梨、長野の2工区は資材搬入口の建設を始めており、未着工は静岡工区だけだ。

 静岡工区は静岡市北部の山中を通る約8.9キロで大井川水系の源流部を横切る形になる。JR東海の試算では掘削工事で生じる湧き水の影響で、大井川の流量は毎秒2トン減る。JR東海は湧き水をポンプでくみ上げ、導水路で川に戻して流量を維持するとしている。

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