投資用不動産のお金の流れを予測する「キャッシュフローシミュレーター」について説明するオリックス銀行の浦田晴之社長=28日午後、東京都中央区【拡大】
オリックス銀行は28日、人工知能(AI)を用いて不動産投資のお金の流れを試算できる「キャッシュフローシミュレーター」のサービスを提供すると発表した。9月5日に開始する。投資対象となるアパートなどの賃料や空室率の推移を最長50年にわたって予測し、運営収支でローンの返済費用がまかなえるかを算出する。銀行業界では初めての試みという。
投資を検討する物件の情報とローンの借り入れ条件を入力すると、5800万室超のデータ解析で得た賃料・空室率の変動予測のほか、修繕費や税金など運営経費の想定値を表示する。
また、地域の人口や商業の動向、賃料の相場といった周辺情報に加え、同社が取引している不動産会社の物件も併せて表示し、比較検討できる仕組みにした。
不動産業界では既に同様のシミュレーターを提供する企業があるが、「運営経費を提示しないなど情報が不十分なケースが多く、不動産会社の説明をうのみにする人が多いマーケットだった」(オリックス銀行担当者)。
スルガ銀行の不正融資問題を契機に投資家が不動産投資に慎重になる傾向が強まっており、オリックス銀行の浦田晴之社長は「情報を透明化して投資家の不安感を解消したい」と話す。