損保大手、来年1月改定商品で高齢者向け補償内容を拡充 (1/2ページ)


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 損害保険大手が来年1月に改定する保険商品で高齢者向けの補償内容を相次ぎ拡充する。損害保険ジャパン日本興亜は個人向け自動車保険で、認知症の人が事故を起こした際の補償対象を広げる。東京海上日動火災保険は住宅向け火災保険に、賃貸住宅内での孤独死による家主の家賃損失補償の特約を設定する。各社とも高齢化社会に備え、利用しやすい保険の開発を急いでいる。

 損保ジャパンは個人向け自動車保険の改定に伴い、認知症の被保険者が起こした自動車事故で、別居の既婚の子が賠償責任を負った際にも保険金を支払う。これまでは同様の事故で補償の対象になるのは配偶者、同居の親族、別居の未婚の子にとどまっていた。

 警察庁によると、自動車死亡事故件数のうち75歳以上の高齢運転者の比率は2017年に12.9%と07年の8.2%から拡大。認知症や認知機能低下者の割合が高いという。

 認知症患者が事故を起こし、責任能力がないと判断されれば、家族らに賠償を求められる可能性がある。「多くの事例が想定されるため、補償対象の範囲を広げて漏れなくカバーする」と損保ジャパンの担当者は改定の狙いを語る。

 厚生労働省によると、認知症患者は12年に462万人だったが、25年には約700万人と、高齢者の5人に1人に拡大する見込みだ。東京海上やMS&ADインシュアランスグループホールディングスなども認知症対応の保険商品開発に力を入れ始めた。

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