【講師のホンネ】私の出発点、船橋への恩返し 大内優


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 講演にも、スポーツの試合同様、ホームとアウェーがある。それは参加者より、土地勘によるものが大きい。講演の依頼を受けたら、その地域の言葉や地名、歴史、名産などを可能な限り、頭に入れてから訪問するようにしている。

 事前に食事をとる時間があれば、地元の食堂ののれんをくぐるし、会場に早めにつけば、周りを散歩して、空気を肌に染み込ませる。

 先日、乙訓青年会議所(京都府長岡京市)での講演前には、春の選抜高校野球に出場した乙訓高校を応援するため、甲子園にも行った。

 もちろんその地域で長年生活をし、愛着を持つ人からしたら付け焼き刃程度のものでしかないかもしれない。それでも、実際に相手の背景を理解して、講演に臨むと、話をより深く聞いてもらえることが多い。自分なりのアウェー対策だ。

 私の場合、この勉強によって、その地域のPRのネタを見つけることができるので、まさに一石二鳥だ。

 とはいえ、やはり、自分の知っている街、住み慣れたホームでの講演は格別である。今月15日の土曜日、千葉県船橋市で1000人規模の出版記念講演会を主催する。私の船橋との付き合いは4年そこそこなのだが、この街に特別な思い入れがある。独立したばかりで右も左も分からないとき、助けてくれたのが、船橋商工会議所だった。

 少しでもビジネスにつながればとPRの話を聞きたいという人を紹介してくれた、専務。「面白そうな仕事をしているね!」と会員向けセミナーを開催してくれた、事務局長。あのときの一人、1回のセミナーがなければ、今の私はいない。恩人に頑張っている姿を見せたい…。船橋のステージに再び立つことが私の目標となった。

 恩返しには、こんな思いもある。自分が学び、尊敬している人たちの話を、船橋の人に、船橋で、聞いてほしい。他の地区から来る人は、船橋のことを、もっと、もっと知ってほしい。講演を通じて、人の交流を活発にしたい。正直、集客は厳しい。「1000人集めるなんて、無理だよ」とか「早く撤退した方がいいんじゃないの」などといわれた。でも、船橋でやることに意味がある。これは譲れない。15日、午後2時、船橋市民文化ホール。1000人の待つスタートラインに、私は立つ。

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【プロフィル】大内優

 おおうち・ゆう 1978年、福島県出身。メディア活用研究所代表。慶応大学卒業後、福島テレビで報道記者として勤務。「PR術」をテーマに全国で講演を行う。今月、2冊目となる著書「キャラがすべて!」(きずな出版)を発売、15日に出版記念講演会を開く。peraichi.com/landing_pages/view/1000