【ハザードマップ】辻商/西日本観光

 ■安価な製品に勝てず沈む伝統産業 

 ▼辻商 辻商は8月24日、大阪地裁へ破産を申請した。

 1969年11月、靴下の製造業者として創業し、77年9月に辻商靴下工業として設立。商品企画開発から販売事業まで手掛け、「ピンキーベル」「リセコレクション」「ソックスラボ」などの店舗名で全国各地に靴下専門店を展開し、2009年7月期は約48億5100万円の売上高を計上していた。

 13年に持ち株会社としてTSBホールディングスを設立。以降、段階的に資金調達や商品仕入れ、管理部門をTSBホールディングス、靴下等の卸売事業をスタジオ・ポアック、靴下・服飾雑貨の小売事業を辻商が担った。

 しかし、他社との競合や需要の減少などで、グループ全体で減収基調となり、近年の円安で中国からの仕入原価が高騰し利益を圧迫。小売事業では店舗閉鎖時に多額の撤退費用が発生するため赤字店舗の整理があまり進まなかった。

 代表者親族からの支援を受けるなどでグループの立て直しを図っていたが奏功せず、今回の措置となった。また、スタジオ・ポアックは民事再生法の適用を、TSBホールディングスは破産をそれぞれ大阪地裁に申請した。

 ▼西日本観光 西日本観光は8月30日、大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。

 「青山台ゴルフ倶楽部」と「篠山ゴルフ倶楽部」の2カ所を運営。京阪神から近く、地元ゴルフ愛好者を中心に利用され、2008年3月期には売上高約12億円をあげていた。

 しかしその後は、ゴルフ人口の減少やプレー料金の低下などで業績は低迷、18年3月期の売上高は約5億4000万円にまで減少した。19年3月期に入ってから、記録的な猛暑や西日本豪雨の影響で入場者数が大きく減少。預託金返還問題も抱えるなか、先行きの資金繰り難から、経営が行き詰まった。

 両ゴルフ場は、ともに営業を継続している。

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【会社概要】辻商

 ▽本社=奈良県磯城郡田原本町

 ▽設立=1977年9月

 ▽資本金=1000万円

 ▽負債額=約34億3500万円

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【会社概要】西日本観光

 ▽本社=兵庫県篠山市

 ▽設立=1971年9月

 ▽資本金=4300万円

 ▽負債額=約52億7900万円

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 〈チェックポイント〉

 辻商が生まれた奈良県は古くから靴下生産で知られる。良質の綿や機織り技術が集積し、明治の近代化のなかで地場産業に発展した。ただ、安価な製品に押され、経営環境は悪化していた。地元大手の破綻は関連業者に暗い影を落とす。伝統産業をどう育て、守っていくか。地域をあげた取り組みが必要だ。

 西日本観光は預託金問題を抱えながらの厳しい経営に、豪雨災害や猛暑による客数減が追い打ちをかけた。天候や災害リスクへの対応は年々重要視されている。直接的に被災した場合の行動はもちろんだが、影響を最小限に食い止めるためには取引先などに潜む天災リスクにも気を配らなければならない。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)