化学業界にシェール革命の波 米国製品の中国流入、供給過剰に危機感 (2/3ページ)

ダウ・デュポンが昨年9月に稼働させたエチレン工場=米テキサス州フリーポート(同社提供)
ダウ・デュポンが昨年9月に稼働させたエチレン工場=米テキサス州フリーポート(同社提供)【拡大】

 原油価格低迷の影響で遅れていたシェールガスの生産が本格化すると、まず米ダウ・デュポンが2017年9月にテキサス州でエチレンとポリエチレンの工場を稼働。米エクソンモービルなども続いた。その生産能力は、ダウ・デュポンのエチレンだけで年150万トンと、日本全体の生産量(17年で約653万トン)の4分の1近くに達する。

 こうした動きを受けて、米国ではエチレン価格が急落。スポット価格は直近で1トン=300ドル台と、年初からみても約5割下落した。アジア価格が1300ドル程度なのを考えると、いかに安いかが分かる。

 エチレンは気体で、輸送に専用の船舶などが必要なため、すぐに海外へ広がるわけではない。だがエチレンから作る誘導品のポリエチレンはペレットと呼ばれる粒状で、輸送が比較的簡単とされる。現状では今年後半から19年にかけて輸出が本格的に始まり、経済成長の続く中国などへ流れ込むとみられている。

 中国の石化製品の需要は底堅く、供給不足は今後数年は続く見通しだ。しかし景気が減速するなどして吸収しきれなくなれば、同国に供給されていた他のアジアの製品が押し出され、日本国内に流入しかねない。たとえ流入しなくても、アジア価格が急落すれば、日本メーカーは大きな影響を受けることになる。

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