クボタ、部品検査で虚偽データ 鋼板などの生産設備向け、85社に出荷

記者会見で頭を下げて謝罪するクボタの木股昌俊社長(左)=12日午後、大阪市北区
記者会見で頭を下げて謝罪するクボタの木股昌俊社長(左)=12日午後、大阪市北区【拡大】

 クボタは12日、鉄鋼メーカー向けに出荷している鋼板などの生産設備の部品で検査に不正があったと発表した。部品の硬さや合金の配合比率などで顧客と取り決めた品質基準を満たしていない製品で、検査成績書に実際とは異なる虚偽のデータを記載するなどしていた。この部品の納入先99社のうち85社に不正のあった部品を出荷したことが確認されているという。

 木股昌俊社長は大阪市で記者会見し「取引先、関係者の皆さまに多大なるご心配、ご迷惑をお掛けし、心よりおわび申し上げます」と陳謝した。経営責任については「再発防止の陣頭指揮に当たることが経営トップとしての責務だ」と述べた。

 問題があったのは、製鉄所などで金属の塊に圧力を加えて薄く平らな鋼板などに加工する工程で使われる「圧延用ロール」と呼ばれる部品。クボタの阪神工場尼崎事業所で生産され、2017年度の売上高は約44億円となっている。

 これまでの調査では13年10月~18年7月に出荷した約2万1000本のうち、硬さの書き換えが3512本、配合比率の書き換えが121本あった。実際の製品とは別の製品の顕微鏡写真を検査成績書に添付した例も765本あった。13年9月以前の製品も今後調査する。

 硬度が基準より低いとロールの摩耗が早くなり、高いと亀裂が発生する可能性があるが、現時点では不正によって鉄鋼製品や生産設備に影響が出た事例は確認されていないという。納入先の企業の具体名は明らかにしていない。

 7月25日に内部通報で発覚した。外部の弁護士による調査も始めており、原因や業績への影響は調査中としている。

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【用語解説】クボタ

 農業機械メーカー大手。トラクターやコンバインなどのほか、浄水や下水処理システムといった水関連事業も手掛ける。鋳物メーカーとして創業した鋳造技術を生かし、産業用機器などに使われる部品の素材開発でも知られる。世界110カ国以上で事業展開しており、本社は大阪市浪速区。2017年12月期の連結売上高は1兆7515億円、従業員数は3万9410人。