【リーマン危機10年(2)】好機とみた日本勢 海外事業で大手2社に明暗 (1/2ページ)

ニューヨークのモルガン・スタンレー本社(ブルームバーグ)
ニューヨークのモルガン・スタンレー本社(ブルームバーグ)【拡大】

  • 三菱東京UFJ銀行の米州企画部長だった中島孝明氏=米ニューヨーク(共同)

 金融危機のきっかけとなった米サブプライム住宅ローン問題の傷が浅かった日本勢は当時、好機とみて海外事業の強化にかじを切った。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)による米証券大手モルガン・スタンレーへの出資と野村ホールディングス(HD)による米証券大手リーマン・ブラザーズの欧州部門などの買収は、明暗が分かれた。

 リーマンの経営破綻から1カ月後の2008年10月13日朝、三菱東京UFJ銀行(当時)の米州企画部長だった中島孝明氏はニューヨークの弁護士事務所にいた。モルガンへの90億ドル(当時のレートで約9000億円)の出資を完了させるためだ。

 市場では経営危機の情報が駆けめぐり、モルガンの株価は10日に10ドルを割り込んだ。米政府は公的資金による資本注入を検討していたが「市場はふんだんに現金を持つ民間の後ろ盾も必要だとみていた」(中島氏)。

 市場が再開すれば混乱は深まりかねない。モルガンと合意したが、現地は祝日で通常の送金はできず、三菱側が用意したのが額面90億ドルという常識外れの小切手1枚。中島氏は出迎えたモルガン幹部にゼロが9つ並んだ小切手を手渡し、モルガンは窮地を脱した。

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