検査不正の対策報告に遅れ スバルと日産、経営に影響も

 SUBARU(スバル)と日産自動車が排ガスや燃費の測定試験の不正で国から求められている再発防止策の報告が、1カ月のめどを超えて大幅に遅れている。製造業の現場が法令順守を軽視した問題として国内外の消費者や市場関係者に衝撃を与えたため、報告内容に遺漏が出ないよう調査していることが背景にある。だが対応が長引けば、今後の新車販売や経営戦略に悪影響が出かねない。

 スバルは6月、出荷前の新車で国の規定通りに燃費の測定試験をしていなかったと発表。昨年発覚した新車の無資格検査や、今年3月に明るみに出た燃費などのデータ改竄(かいざん)に続く不祥事となった。7月には、日産も燃費などのデータ改竄や、無効な試験結果を有効として処理する不正があったと公表した。国土交通省はそれぞれに対し、1カ月をめどに再発防止策をまとめるよう要請したが、現時点でも公表には至っていない。

 「これ以上の問題が出てくるのは許されない」(スバル関係者)、「安全性に関わる問題なので丁寧に進めたい」(日産関係者)と慎重になっているもようだ。国交省幹部は「技術的なことより会社の体制が重要だ」と指摘しており、納得のいく対策が求められている。

 一連の不正を受け、スバルは国内新車販売台数の前年実績割れが続いている。日産はフランス大手ルノーと企業連合を組んでおり、品質問題で発言力が低下すれば、フランス政府が主張するルノー主導の経営統合論を勢いづかせる可能性がある。