AIスピーカー(ブルームバーグ)【拡大】
三井物産の社内ベンチャー制度第1弾として7月に設立したシニア世代向け音声サービス会社「ボイスタート」が、年内のトライアル開始を目指している。
1人暮らしのシニア世代はふと気付けば「今日も一日、誰とも話していない…」という状況に陥りやすい。こうした社会課題を解決しようと、ボイスタートは、市販の人工知能(AI)スピーカーを使い、音声で生活を豊かにしたり、地域コミュニティーに参加したりできるアプリケーションを年内にも開発し、年明けにもサービスを開始する計画だ。
AIスピーカーのアプリケーションの大半が音楽など若者向けサービスであるのに着目。シニア向けアプリを開発し、ユーザーから月額で課金するモデルを想定している。
回谷信吾社長はスピーカーとの会話を通じて、雑談のきっかけづくりや地域のイベント情報を提供し、イベント参加のきっかけにつなげ、「家族や地域コミュニティーとのつながりをサポートしたい」と話す。認知症予防のクイズや般若心経の朗読なども検討している。
ただ、AIスピーカーはスマートフォンの設定や使い方にハードルがあるため、自治体などと連携するなど、サポート要員の組織化も検討し、使い方や発声練習もアドバイスする。
三井物産は昨年、社内起業制度を創設。起業を提案した社員と三井物産が双方で出資する仕組み。ボイスタートは三井物産が77.8%、ソフト開発のチェンジが11.1%、新会社の社長に就任した回谷信吾氏も11.1%出資した。出資額は数百万円という。
当面、財務などのバックオフィス機能は三井物産が支援するほか、従業員は本社に籍を置き出向扱いになる。3年後をめどに自立するかどうかを決める。