【eco最前線を聞く】三井物産 地域新電力の収益元手に地域振興へ (3/3ページ)

 EV向けインフラ整備も

 --今後の展開は

 「現行制度では、例えば住宅用の太陽光発電の余剰電力は電力会社が固定価格買取制度(FIT)に基づき、買い取る仕組みだが、買い取り期間は早くて、2019年に満了する。19年度には約59万件がFIT切れとなり、順次増える見通しだ。将来的には、個人はまずは自分で発電した電気を自分で消費し、余った分を取引価格など考慮しながら、売電先を個別に選択する個人間取引の時代がくると思う。その際に、蓄電池も使い、余った電気を集めて統合制御し、必要な時に必要な人に届けるトータルサービスを提供していきたい。米国発技術を生かせると思う」

 --エコシティーのイメージは

 「人口が減少する地方都市は、バスなど公共交通の維持が財政を圧迫し、共通の課題を抱える。EV向けインフラ整備や電気バスの導入による効率運営などを検討していきたい。社内では、ヘルスケアや次世代技術の部署とも連携している。個人間同士の大量の電力データを処理するには改竄(かいざん)性が低い、ブロックチェーン(分散型台帳)などの新技術導入も有望で、街のスマート化に向けて検討していきたい」(上原すみ子)

【プロフィル】森岡寿夫

 もりおか・ひさお 上智大外国語学部ポルトガル語学科卒、1996年三井物産入社。運輸第二部、プロジェクト開発第三部(米州担当)、ブラジル三井物産(リオデジャネイロ支店)などを経て、2016年7月から現職。有明エナジー取締役も兼務。46歳。島根県出身。