【フロントランナー 地域金融】金沢信用金庫・治村幸宏さん(1)


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 □金沢信用金庫松任南支店支店長代理・治村幸宏さん

 ■提案よりも、夢や悩みを聞き出す

 「地域に根差す信用金庫として、目先の実績を追うよりお客さまと息の長い関係を築くことを心がけています」

 こう話すのは、金沢信用金庫松任南支店で支店長代理を務める治村幸宏さんだ。

 入庫から一貫して渉外担当者としてキャリアを重ねてきた治村さん。営業活動では自分の提案を推すよりも、顧客から夢や悩みを聞き出し、それぞれに合わせた提案で信頼関係を築き法人取引を拡大している。

 松任南支店には2015年12月に着任し、16年度には金庫内の個人業績表彰を受賞。後輩育成を通じて支店全体の実績底上げにも貢献している。

 松任南支店が立地するのは石川県白山市。県庁所在地・金沢市の南西に隣接し、ベッドタウンとして住宅地が並ぶ。市内17の工業団地には多くの製造業が立地するほか、卸売業や小売業、医療・福祉など幅広い分野の事業者がみられる。

 この白山市で新規・既存の両面から法人取引を拡大するのが治村さんのミッションだ。アプローチする企業に対してはビジネスモデルや商流の把握から取り組む。例えば製造業なら、原材料の仕入れ先、生産体制、直接の販売先、エンドユーザーまで掘り下げて確認する。

 事業を大づかみしたら、経営者に夢を聞くのが治村さんが重視しているプロセスだ。

 「大げさに聞こえるかもしれませんが、経営者の方には『どのような夢をお持ちですか』と問いかけています。お答えを裏返して想像すれば経営課題が見えてくるからです。夢を実現するための方法をお客さまと一緒に考え、全力で応援するのが私どもの使命と信じています」

 ヒアリングでは経営者の話に耳を傾けることに徹する。

 「売り上げを拡大したい」「新規事業を立ち上げたい」といった経営者の夢を否定することはせず、融資など商品の話題も口にしない。

 あくまでも聞くことに集中し、できる限り支援したい旨を伝えるという。

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 (編集協力)kindai-sales.co.jp