【木下隆之のクルマ三昧】「半官半民」意識の路線バスの死角 一般車と共存する難しさ (2/4ページ)

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 その2回の目撃の両方とも、口論の原因はお互いの走行パターンにあった。バスはダイヤに合わせるためにややスロー走行をしていた。偶然に先行する同僚のバスに追いついたが、追い越すこともせず、わざと大きなボディをはらませるように後続の一般車をプロックする形でバス停に並んだ。そんな遅延行為に腹を立てたというのである。

 事件が出勤時間帯の早朝7時だったこともイライラをつのらせた。遅刻するかもしれないという焦りは、ひとの気持ちをとがらせるものだ。おそらく多くのひとがこんな経験をしていると思う。バスの巨体に進路をふさがれて憤りを感じたひとも少なくないだろう。

◆路線バスは優先的に営業している?

 そもそもバスと一般車は互いに馴染まない乗り物である。公道は税金で管理されているから、つまり納税者が等しく使用できるはずなのに、路線バスは優先的に営業しているという違和感がある。許可を得ていると頭では理解していても、なぜか釈然としないのも事実。

 バスは停留所のたびに停まる。流れを堰きとめる。女児の命を奪った事故現場のように、横断歩道にまたがっている場合もあれば、停留所が対向車線同士で並んでいることもある。つまり、対向で停まったら、交通の流れが完璧に遮断されるのである。

なかなか寛容に受け止められない