【高論卓説】地銀に求められる「目利き力」 “育てる金融”が生き残りの鍵に (1/2ページ)

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 「目利き力」という言葉が、地方銀行の経営改善のキーワードとしてよく耳にする。いまスルガ銀行のシェアハウス向けの不正融資が発覚して、地銀の厳しい経営事情が改めてクローズアップされている。地銀が生き残るには、地域密着型金融をより効果的に行わなければならない。その成否を決める重要な鍵が、企業の有形無形の実力を適切に評価できる目利き力というわけである。

 例えば元金融庁長官の佐藤隆文氏は「地域金融の基本は地域に密着した金融機関かどうかだ。目利き力を発揮し、助言とセットで良いサービスを借り手に提供できていれば、本来はそれほど収益が落ちないはずだ」と述べている。(7月19日付日本経済新聞)

 新潟県の地銀、大光銀行の古出哲彦頭取は7月31日の日本経済新聞電子版で、今後の業務改革についてこう語っている。「中小企業を重点顧客とし、法人営業担当者を中心に目利き力・提案力を高める」と。地銀に限らず信用金庫や信用組合も含めた地域金融機関はもとより、メガバンクにしても「目利き力」が融資業務を行う上で不可欠であることはいうまでもない。しかし金融機関は長い間、目利き力をさび付かせてきた歴史がある。

 バブル経済のころ、今はメガバンクになっている都銀のある東京都心の支店長が、首をひねっていた。「私は昔、相手の経営者の顔を見て融資しろと教わったものですが、いまの支店の行員は不動産登記簿と地図を持ってきて『ここに融資しましょう』と、土地だけを見て貸そうというんですよ」。

 その土地に上物を建てていくら稼げるかを評価してというのではない。ほとんどは地価上昇を当て込んで貸し付けるというのが実態だった。だからバブルが弾けて金融機関は巨額の不良債権を抱えたのである。

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