【ハザードマップ】かぶちゃん農園/リゾートアンドサファリ

 ■「オーナー制度」破綻で連鎖倒産に

 ▼かぶちゃん農園 ケフィアグループのかぶちゃん農園は10月1日、東京地裁から破産開始決定を受けた。

 ケフィア事業振興会(東京都千代田区)のグループ会社で、「市田柿」など食品の加工販売を手掛けていた。設立当初はケフィアたね菌を利用したヨーグルト製造を主力とし、その後に地元特産品の市田柿の製造販売へシフト。「柿蔵姫」や「柿照姫」などブランドをもち、積極的な広告や社長のメディア露出で知名度が上昇し、2010年8月期は売上高約34億7300万円を計上した。

 しかし、11年8月期中に採算性の悪化から支払い遅延が生じ、信用力が低下。同期の売上高は約13億2000万円まで落ち込み、7億1612万円の赤字を余儀なくされた。このため、ケフィア事業振興会に市田柿販売部門を移管し、食品加工に業態変更するリストラ策を講じた。その後、ケフィア事業振興会が会員向けに高利回りの買戻特約付売買契約「オーナー制度」で売上高を伸ばし、同社もその恩恵を受けて業況が回復。17年8月期の売上高は32億5922万円に上った。

 だが、ケフィア事業振興会で会員への配当などの支払い遅延が表面化。ケフィアグループ被害対策弁護団が組成され、9月3日にはケフィア事業振興会と関連3社が東京地裁から破産開始決定を受けた。信用が大きく失墜し、かぶちゃん農園も事業継続を断念した。

 ▼リゾートアンドサファリ リゾートアンドサファリは9月26日、東京地裁から破産開始決定を受けた。

 個人客を対象とするモルディブ旅行を主力に、タンザニア、ケニアなどアフリカ地域の旅行プロデュース、現地手配を手掛けていた。新婚旅行や家族向けの高価格帯旅行のプランニングを行い、2010年9月期は売上高約2億6000万円を計上、近年も年間売上高は2億円を上回る規模で推移していた。

 しかし、同社の代理業を行っていた取引先の倒産が影響し、17年には業況が急激に悪化。厳しい資金繰りが続く中、今年7月に事業を停止していた。

                   

【会社概要】かぶちゃん農園

 ▽本社=長野県飯田市

 ▽設立=2004年5月

 ▽資本金=1億円

 ▽負債額=21億8600万円

                   

【会社概要】リゾートアンドサファリ

 ▽本社=東京都中央区

 ▽設立=2002年10月

 ▽資本金=1600万円

 ▽負債額=約9600万円

                   

 〈チェックポイント〉

 かぶちゃん農園は市田柿の生産会社として知られていたが、破産による地元への雇用面での影響も大きい。ケフィアグループは高利回りをうたったオーナー制度が破綻し、グループ会社の連鎖倒産はすでに21社にのぼる。3万人以上の一般個人を巻き込み、社会問題化した倒産劇の影響は今もくすぶり続けている。

 リゾートアンドサファリはモルディブやアフリカなどの地域に特化した旅行手配で強みを持っていた。だが、取引先の倒産で立て替え払いの必要が生じ、資金繰りを直撃した。格安旅行にこだわらない路線で差別化を図っていたが、高価格帯であるが故に負担も高額になるという皮肉な結果を招いてしまった。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)