高齢者も楽々はける靴下を 「開発に生きる」老舗メーカーの挑戦 (1/3ページ)

「ラク~にはけるソックス」を試着する老人ホームの利用者。評判は上々だった=大阪府松原市の「パームコートまつばら」
「ラク~にはけるソックス」を試着する老人ホームの利用者。評判は上々だった=大阪府松原市の「パームコートまつばら」【拡大】

 「年をとると、靴下がはきにくくて…」。そんな高齢者たちの声を受けて、大阪府松原市の老舗靴下メーカーが、前屈みになりにくい人でも簡単にはける高機能靴下を開発した。高い技術と斬新なアイデアで、商品は業界団体の日本靴下工業組合連合会の理事長賞も受賞。開発のきっかけは、お年寄りの「靴下くらい自分ではきたい」との思いからだった。今では高齢者以外にも妊婦さんなどにも広まっているといい、前屈みになるのが難しい人たちも愛用しているという。(藤崎真生)

 体が硬くても楽々履ける

 商品は「コーマ」の「ラク~にはけるソックス」(税込み1620円)。小さなスリッパのような形状で底は平たく、足を入れる部分が三角形に開いているのが特徴だ。履き口を開いて床に置き、ベッドや椅子に座ったままでも、かかとに付けられた「指掛け部分」を指で引くと簡単にはける。

 開発のきっかけは、同社系列の介護付有料老人ホーム「パームコートまつばら」(大阪府松原市)を利用する高齢者の声だった。高齢で身体が硬くなるなどさまざまな理由で「靴下をはくのに時間がかかってしまう」ためだ。なかには、靴下をはくだけで30分もかかる女性もいたという。  「コーマ」社長の吉村盛善(のりよし)さん(65)は「『靴下くらい自分で履きたい』と思う人もいる。そうした方々の力になりたかった」と振り返る。

 そうした思いから完成した「ラク~に」。実際に着用した人からの反応は、好評といえるものだった。

靴下「地位あるものに」