【視点】大規模停電 「同時同量」の原則 中央給電指令所の理解が不可欠だ (2/3ページ)

地震で停止、出火した苫東厚真火力発電所4号機のタービン=9月20日、北海道厚真町(杉浦美香撮影)
地震で停止、出火した苫東厚真火力発電所4号機のタービン=9月20日、北海道厚真町(杉浦美香撮影)【拡大】

 答えは「悪夢の大規模停電」だ。その危険が黒い口を大きく開ける。

 消費量に対して発電量が少なすぎても、多すぎても、この事態を招く。

 9月6日の北海道では、発電中だった苫東厚真火力発電所の3基が地震で停止したために計165万キロワットの出力を失った。

 管内の送電線網を流れる電気は、交流である。その周波数は常に50ヘルツに保たれているのだが、苫東厚真が止まった結果、この周波数が一気に低下した。

 消費量が発電量を上回る負荷過多の状況だ。イメージとしては自転車のペダルが重くなりすぎ、前に進めなくなって倒れてしまう状態だ。

 発電系統の崩壊回避には負荷軽減が必要だ。そのためには一定のエリアを送電網から切り離す、つまり強制停電させることでバランスを回復させる措置がとられる。

 これで需給バランスが回復すれば、停電域の拡大は免れるが、切り離しが足りなかったり、多すぎたりすると、他の発電所の発電機が止まる。

 こうなるとドミノ倒しで発電機の停止が続き、ブラックアウトに至るのだ。大づかみに理解すると、こうした事象が北海道で起きたのだ。

 震災を機に繰り返された報道で、電気が足りなくなると大規模停電が起きることへの国民理解は、かなり深まった。

 だが、重要な「同時同量」「常時需給の一致」が、どこで、どのようにして実現されているのかについては、相変わらず知らされないままだ。

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