日本企業、「最悪のシナリオ」も視野 英とEUの離脱交渉進展せず  (1/2ページ)

英中部サンダーランドにある日産自動車の工場(共同)
英中部サンダーランドにある日産自動車の工場(共同)【拡大】

 欧州連合(EU)と英国との離脱交渉が進展せず、欧州で事業を行う日本企業にとっても、不透明感が強まっている。「合意なき離脱」といった“最悪のシナリオ”も視野に入れ、各社は対応を本格化させる。

 中部サンダーランドに英国最大の自動車工場を構える日産自動車は、従業員の賃金交渉を延期する方針だ。工場や研究開発拠点の従業員の賃金交渉は2年に1回で、2019~20年の賃金を今秋に決めるはずだったが、現状では不透明感が強く、「ビジネスの展望が明らかになる来年に交渉を行う」としている。

 また英北部に鉄道車両工場を持つ日立製作所も、EUと英国との交渉の見通しについて「楽観できる状況ではない」と懸念を示す。

 先行きが見通せない状況下で、企業の経営判断も難しさを増している。パナソニックが今月、欧州本社を英国からオランダのアムステルダムに移転した一方で、ロンドンに欧州の統括会社、ウェールズ州に電子レンジ工場を置くシャープは、現時点で具体的な計画はないという。「どういう形で合意がなされるか明確でない。必要に応じて判断する」と説明する。

 また、欧州での販売承認などを行う欧州医薬品庁(EMA)は来年3月までにロンドンからアムステルダムに移転する方針。

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