FBに行政指導 高まる個人情報保護の声

日本政府の個人情報保護委員会が行政指導を行った、米交流サイト大手フェイスブックの画面
日本政府の個人情報保護委員会が行政指導を行った、米交流サイト大手フェイスブックの画面【拡大】

 政府の個人情報保護委員会が、フェイスブック(FB)に対して行政指導に踏み切ったのは、FBなどの米国の巨大IT企業が利用者情報を大量に収集・利用していることに対して、世界的に「プライバシー保護」の声が強まっていることが背景にある。日本でも総務省がこうした企業へ法規制強化も含めた議論を始めており、政府の対応に注目が集まっている。

 FBなど、さまざまなインターネットサービスを利用できるプラットフォーム(基盤)を提供している事業者は「プラットフォーマー」と呼ばれる。

 FBが会員制交流サイト(SNS)アプリ内で他の事業者のアプリを提供しているように、プラットフォーマーは他の事業者が参加する基盤を提供している。プラットフォーマーは、基盤内の他事業者のサービスについての利用情報も収集するなどして、利用者の利便性を図っている。

 ただ、欧州連合(EU)では、プラットフォーマーによる利用者情報収集によるプライバシー侵害の不安を払拭する目的などから、一般データ保護規則(GDPR)が5月に施行された。米国でもプライバシー保護を拡充する動きが進んでいる。

 総務省は18日から、海外の規制強化の動きに歩調を合わせる形で有識者研究会で議論を始めた。政府の個人情報保護委員会も、英国など各国の当局と調整を図った上で今回、行政指導に至った。同委員会の担当者は「FBの利用は実名登録が前提なので誰がどこのサイトを利用したのかなど、個人情報の把握が極めてしやすい」と指摘した。

 FB日本法人の担当者は「プラットフォームの安全性を高めるために必要な変更を加え、利用者情報を保護するための製品・機能開発に全力で取り組む」とコメントした。