【現場の風】サッポロビール 新卒採用書類選考、AI導入で成果


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 □サッポロビール取締役執行役員・横井成尚さん(60)

 --今年度の新卒採用の書類選考に人工知能(AI)を導入した狙いは

 「採用の質を上げるのが一番の目的。AIで単純に人間がやっている作業を短くすること自体にも意味はあるが、空いた時間で学生との接点の機会を増やし、優秀な人材の採用につなげることを目指している」

 --どのような成果があったか

 「今まで書類選考に延べ600時間ほどかかっていたが、関与する社員も含めてほぼ半減し、現役社員と学生の交流会を前年度の6回から9回に増やせた。インターンシップも1回だったものが5回になった」

 --学生からの評判は

 「採用担当者の印象といった就職の人気企業ランキングが上がっており、確実に成果につながっている」

 --AIが有望な学生を見落とす心配はないか

 「AIが不合格判定した書類も、どうして不合格になったのかを人の目で必ず確かめる。一方、AIが合格判定を出す信頼性は試験段階で確認できている」

 --実際にAIを運用してみえてきた課題は

 「特に大きな不都合はないと認識しているが、AI判定で下位となった中には、内容はしっかりしているが文章力が少し足りないといったものもあり、ニュアンスや細かい部分は人の目で見なければならないと考えている。そのようなプロセスで選考につながっている例もあり、全部をAIに任せるわけにはいかない」

 --今後もAIの活用で書類選考の精度は高まるのか

 「書類の質問を毎年変えると、AIが過去のデータを学習できなくなる。時代の流れで質問項目を変えるのは自然なことなので、そこは悩ましいところだ。まだ手探り状態だが、システムを改善するときに活用できるところは活用していきたい」

                   

【プロフィル】横井成尚

 よこい・しげひさ 北大農卒。1982年、サッポロビール入社。群馬、静岡、千葉各工場の製造部長、九州日田工場の工場長などを経て、2010年にカナダのグループ会社スリーマン社の社長兼CEO(最高経営責任者)に就任。15年から現職。農学博士。北海道出身。